ないものはもらえない

勤務先で上長印の必要な書類が発生。
私「はんこ下さい!」
上司「ごめ~ん…」
私「?」
定期的に発生する書類だし、却下される要素はない。
……
上司「うちに忘れてきた」

おかわり

前日、早めに帰宅したり買い物を省略したりと文字通り寸暇を惜しんで英文和訳。
納期まで1日を残してどうにか書式調整まで一連の作業を終えた。
フルタイム翻訳だけしていられるならどうということはないのだろうが、
こういう時に限って会社で打合せが待っていたりする。
打合せが3つ続き、やっと昼食にありついたのが3時半ごろ。
食事の片手間にメールチェックをしてみると、
「進捗報告しにゃならんので、途中まででもいいから送って」とのこと。
幸い訳文ファイルはすぐ出せるところに置いていたので
その返信で「一応は約し終わってます」と添えて納品してしまった。
届いたのかそうでもないのか、帰宅してから確認しても反応がない。
とりあえず終わったとみなすことにしてインボイスを送りつけてみる。
と、数十分後。
「訳文とインボイス受け取りました。
 前のが終わった、ってことで、似たようなのをお願い」とな。
文量は9000字強、納期は月曜。
何となく漠然と不安を覚えるものの、実績からして無理のある日程ではない。
そして担当者のメールの末尾に
「切実なお願いです」って。
まぁそこまで言うなら、と半分うぬぼれて承諾の返事。
それにしても半島の人って考え方の筋がいまいちよく解らない。
島国ほどベタベタでもなければ大陸ほど合理的でもないが、
ちょうど中間というわけでもなく、かといって何か突出しているわけでもない。
……大陸的、島国的の二律背反ではなく、半島的な軸があるのか?

用語集を無理やり取り込む

昨日の引き合いは、こちらの見積価格よりやや高い提示額があったので
恐る恐る引き受けてみることにした。
そうすると最初に立ちはだかるのが支給された用語集。
Excelで2ファイルあり、合わせて2500語ぐらいの英日対応表だ。
まずはこやつらをMultiterm(Tradosと連動する用語集ソフト)に
どうにか取り込むのが先決なのだが、手順を覚えていない。
確か特定のXMLに書き出してインポートだったような…..
変換ツールとやらも出回ってはいるのだが、使い方が分からない。
こうなったらない知恵を絞って無理やりやってみるのみ。
XMLといっても所詮タグ付のテキスト。
用語の前後に入るタグさえ分かれば、半自動的に生成できるはず。
手元にあった無関係の用語集をとりあえずXMLに書き出す。
できたXMLをしばらく凝視して、データ1行あたりの必要なタグを切り出す。
Excelでタグと用語を貼り合わせる。
で、その結果をXMLとして保存すればできあがりなはずだが…..
おかしい。何かがうまくいっていない。
そもそも2500件あるはずのデータが何故67番までしかないのだろう?
原因は、Excelのセルあたりテキスト容量限界にあった。
気づくのに30分ほどかかった。
考えてみればあのマスに67件分ものデータが入るほうが不思議ではあるが。
容量限界のちょっと手前で貼り付けをやめ、メモ帳に移動。
ほぼ67件ごとに同じ作業を繰り返すこと小一時間。
翻訳作業の下準備だけで疲れ果ててしまった。

何で私に?

夕方、外出先から戻ってメールチェックをすると怪しい文字列が。
文字コードの違う国(の人)から送信されてきている英文メールだ。
見てみると、ソウルの翻訳会社からだった。
翻訳対象の文書だけでなく、用語集までついている。
香港はまだ半分?英語圏だからまだしも、
何故ソウルから英文和訳の引き合いが来たのだろう?
直接の理由は例の「Trados社ページを見たから」なのだが、
そもそも英語はそんなにできるって公言していない。
例のページには自動車とビジネス全般ができるとしか書いていないのに、
依頼内容はCADの説明書。普通に見て専門外だろう。
工業全般だのソフトウェアだのは中日翻訳のみ対象にするつもりで
その欄にだけ書き込んであるのだが。
私の知る限り、英日翻訳者は売るほど(失礼!)いらっしゃる。
しかも自身の専門分野にしっかりした知識を持つ人が多いはずだ。
Ameliaあたりに求人を出したほうが、よほどいい翻訳者が見つかるのに
……求職情報掲示板としての知名度だけの問題か?
……
……
……
あ。
思い当たるフシが。
Ameliaには日本語のページしかないからか。
経緯には納得いかないものの、文そのものは難しくないようなので
とりあえず条件提示だけしてみることに。

それは無理

月初の人事異動に伴い、隣の席に移ってきたF様。
恐ろしく顔が広いので名刺がすぐ切れてしまう。
その彼女が、その夥しい取引先に異動のご挨拶。
挨拶状も大変な数なので?事務子会社に送ってもらうほど。
その校正依頼が子会社から送られてきたのだが、何枚か見ているうち彼女がさもおかしげに笑い出した。
F様「……これはないやんなぁ」
私「?その原稿が?」
F様「この住所がな」
指し示す先を見て私も吹き出してしまった。
”米国ミネソタ州”と日本語で縦書き。
あちらのZIPコードもご丁寧に郵便番号然としている。
日本を出ることはできても、米国で迷子になるであろう。

微妙な立場

同僚に言わせると、上司は私に頭が上がらないように見えるらしい。
言われたときは「そんなあほな」としか思わなかったが、
何となく裏が取れてしまった気がしてきている。
飽くまで副業のつもりということもあり、勤務先での職位は契約社員である。
本来なら部長級である上司との間に正社員が入るはずのところらしい。
しかし現実として、そんな存在は見当たらないのである。
去年は一応いたのだが、退職されてしまい空席になったままなのだ。
つまり、私はその人の分のお留守番もしていることになる。
何か外部から問い合わせがあったら取り次げばよいと言えばそれまでだが、
そう簡単につかまる相手ではないので情報の一次処理が必要である。
しかも、今や私でないと回答できない質問も少なくない。
正社員の助手のつもりが身代わりになってしまった、とも言える。
そのへんのところは上司も気にかけてくれているようだ。
振り返り面談で「会社の事情で正社員に登用する訳には行かないが」と言われた。
別にそんな希望はそもそもないので私は気にしていない。
今の気楽さのほうがよほど居心地がいい(と思うことにしている)のだ。
そして「~行かないが」の「が」の続き。
外部要因が色々あって個人目標が未達成なのだが、
「業務の個別性を考慮して、最大限の評価はさせてもらう」とのこと。
…….昇給やら何やら、本当にそんなことは望んでいないのだが。
もらえるものは多いに越したことはない。
ただ、そんなに私の価値があるのかが疑問なだけである。
きれいごとでも何でもなく、かなり疑わしい。
そして、あまり重宝されても後で困る気がしている。
本業にする気がないので。
評価(額)の高さより足の洗いやすさを取りたい、という希望は
会社から見たら受け入れがたいものなのだろうか?