のどかな半島の怖~い人々

ペンギンが3種類いるという南知多ビーチランドへ行ってみた。
駅から歩くと公称でも15分と軽く運動になる遠さ。
ようやく入口案内が出てきたと思ったら、「?」に遭遇。
いかにも公式な大規模看板と、胡散臭い手書きの「正面ゲートこちら」看板が個人商店を挟んで左右に置いてある。
大きい看板のほうが広い道に続いていたので、ひとまず手書き看板は無視。
しばらく進んでいくと、何やら叫びながら旗を振っている女性が数名。
皆いでたちは農作業の片手間そのものといった感じだが、顔は必死の形相である。
赤やら黄色やらの派手な旗を振りながら、車を自分の駐車場に誘導しているようだ。
……「誘導」と言うにはかなり語弊がある。「勧誘」、いや「客引き」だ。
車道に身を乗り出して、車が来ると更に間合いを詰める。
傍から見ていると轢かれそうな位置まで行って、運転者に話しかけているのだ。
「正面ゲートにはこっちが近いよ」
「こっちは400円だよ、奥のは500円だで」
彼女達を素通りして公式駐車場に向かう人々も勇気があると言おうか、……。
場内ひとしきり観覧後。
ゲートから公式駐車場を見ると、完全に満車だった。
園の人とおぼしき誘導係が枠の引かれていないところに停めさせている。
まさか、と思いつつ園を出ると、やはりそのまさかだった。
彼女達の戦いはさらに過熱している。
「奥は満車だから~!」と叫びながら飛び出す者あり。
園とは無関係な蘭の温室あたりで構えている者あり。
舗装こそされていないものの、彼女達の駐車場もそれなりにちゃんとしている。
下手に客引きなんかするから胡散臭くて客が寄り付かないだけに見えるのだが
何が彼女達をそこまで必死にさせるのだろうか。
ふと手書き看板のうち一枚を見ると、400円が500円に変わっていた。
……最初から500円にしておとなしくモギリだけやっておけば信用もされるのに。
もしくは警備員っぽい衣装にするとか。
ペンギンがたくさんいたというより、怖い人を見てしまった印象のほうが強かった。
ビーチランドも印象を損ねているのではと勝手に心配。