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翻訳会社の求人に応募する
先立つものは「実務経験」?
翻訳会社の登録翻訳者求人情報を見ると、たいてい応募要件に実務経験○年以上と書かれている。
依頼側からすればより経験のある相手に登録して欲しいのは当然だろうが、それでは新人が入る余地がない。
経験者しか採用されない前提の分野に新人が入るにはどうするべきか。
経歴を捏造するのは人道的にいただけないし、ばれると後がない。
合法的に許される手段は、経歴のかき集めだ。
特にプロ歴や独立歴を問われている場合でもない限り、関連業務の経験年数でも実際には許される。
社内通訳や英文事務などの経験があれば全て年数に足してもおかしくはない。
どのみち書類審査を通っただけでは採用されないのだ。
関連業務の経験すらない場合
今からそういう経験を積むのも一手だが、通信制でもよいので翻訳スクールで学ぶのが手っ取り早い。
教材だろうがテスト問題だろうが、実務文書に触れた年数をそのまま翻訳経験年数としてよい。
また、費用はかかるが、アメリアでは定例トライアルと称する試験が毎月あるので、その受験歴でも数字にはなる。
成績がよければある程度のお墨付きにもなるので、英語翻訳を目指す人にはお勧め。


登録翻訳者
就職先、勤務先で社内翻訳者を目指す場合はともかく、実務翻訳者として収入を得るには、翻訳会社の登録翻訳者求人に応募するのが一般的である。
正社員や契約社員として翻訳者を採用する翻訳会社は皆無と言っていい。
社員としてではなく登録されるとはどういうことか。
雇用関係にならない、外注先として登録されるということである。
雇用関係にないので当然、
①仕事がある時のみ報酬が発生する
②複数の会社に登録しても問題ない(要確認)
つまり、仕事量や収入は安定すると思わない方がよい。
反面、自衛手段として登録先=取引先を増やせるので登録先は複数あったほうが有利だとも言える。


トライアルという名の関門
翻訳会社の登録翻訳者求人に応募する際、だいたい書類選考後にはトライアルと呼ばれる実技試験が待っている。
課題文のみ送付される場合もあれば、細かい指示書が付いてくる場合もある。
語学力の試験ではないので辞書も情報検索も使い放題だが、他の受験者も同じ条件であることに注意。
細かい調べものや正しい表現はできて当然なのだ。
試験の性質は採用試験なので、採点結果が帰ってきたり不合格理由が通知されたりすることはまずない。また、採用基準が公開されていることもない。このあたりは入社試験と似ている。
では、何をどう答えれば合格できるのか。
身も蓋もないことを言えば、その会社が気に入る訳文を書けば合格である。
課題文の翻訳結果として正しいかどうか、実はそもそもの正解がない。
明らかな誤訳をしてはならないこと、指示があれば従うことぐらいしか明示的な基準はない。
何も答えになっていないと思われる方もあろうか。会社が気に入るかどうかに「傾向と対策」などない。
実際どう対処するかと言えば、合格するまで何社でも受験するのみなのである。

仲介サイトに登録する
有料サイトと無料サイト
翻訳会社と翻訳者を仲介するサイトには、翻訳の窓など無料のものとアメリアJTF翻訳プールのように有料(年会費制)のものがある。
経験上どうも有料サイトのほうが求人にありつける率は高いようだが、必ずしも「有料サイト=仕事あり」ではない。
いずれにせよ重要なのは、いかに分かりやすく魅力的に実績を掲載するかである。


市場が日本国内とは限らない
翻訳者個人と翻訳会社を仲介する会員制サイトに登録すると、求人情報の検索や応募がしやすくなる。
国内ではアメリアが有名だが、英語に抵抗がなければ国外のサイトにも登録するとぐっと間口が広がる。
ProZなど専門サイトのほか、TRADOSのように製品の登録ユーザーを外部へ紹介する無料サービスもある。
国外のサイトを利用する場合、英語翻訳者でなくとも最低限の英語メール読み書きと貿易知識(請求と決済の流れ程度)が必要になる。
また、なまじ当然ではあるが職務経歴書にも英語版(=CV)が必要。


翻訳料金を設定する
いくらの価値があるのか?
400語(文字)あたり何円の価値があるかを考えてみる。
普通の(翻訳未経験の)高卒新人が会社業務として無理矢理やらされたと仮定すると、
• 高卒初任給 15万5700円(※厚生労働省平成19年賃金構造基本統計調査結果)
• 1文字を辞書で調べるのにかかる時間 30秒
• 標準就業時間 8時間×週5日×4週=160時間/月

①所要時間=30秒×400字=200分
②1分あたり賃金=15万5700円÷160時間÷60分=16円22銭
③400語(文字)あたり賃金=200分×16円22銭=3244円

ということで、3244円以内で収まれば社員にやらせるより経済的ということになる。
但し、この金額は「外国語が日本語になる」費用しか見積もっていない。
翻訳者の仕事はある文書の「外国語を日本語にする」のとは少し違う。
その文書の「日本語版を作成する」のだ。
よって、語彙や文法上の対応がきちんと取れていればよいというものではない。
文脈に応じた訳語の選定はもちろん、その文書の用途に合わせた文脈の読み方も必要となる。
そこに素人ではなくプロが訳す付加価値を求めることも可能だが、むしろ用途に合わせることができないならば素人社員以下だと思った方が安全だ。
ここでは計算の便宜上、新人社員を使っているが、たいてい社員であれば外部の人間よりは自社の文脈を知っているものである。
つまり、「外国語を日本語にする」だけでは、3244円より有意に安くしない限り客先の食指が動かない。


で実際どうなのよ
実際のところ企業が社員を雇うには賃金以外にも費用がかかるものなので、客先の負担はもう少し大きいはずである。
一方、この金額が客先にとっての支出だとして、まるまるその全額が翻訳者の収入になると思うのは甘い。
直接取引ができるのであれば所得税の源泉徴収分を差し引く程度で済むが、翻訳会社が間に入る場合は翻訳会社の取り分も当然発生するからだ。
翻訳者個人と翻訳会社の取り分をどうするかは、たいてい基本契約を結ぶときに決める。
登録担当者との交渉の余地はあるが、経験が浅いうちは控えめに提示しないと、そもそも基本契約を結んでくれないので注意。
会社によっては案件ごとに翻訳者の取り分を提示し、基本料金を特に定めない場合もある。
提示額を決める基準として、翻訳会社がホームページなどで料金を公開している場合その半額ぐらいを見込む。
報酬の計算基準が原文か訳しあがりかには注意すること。
例えば中日翻訳の場合、訳文の文字数は原文の約3割増しになる。
少し安いかも、と思っても受けるかどうかはもちろん個人事業主としての判断であるが。
海外の翻訳会社には銀行振込手数料を負担してくれないところが少なくない。
銀行の手数料はもちろん銀行によって違うが、希望報酬+2000円程度になる金額を提示するのがお勧め。

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