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必要な知識
外語大卒でなくても大丈夫
自慢ではないが、私の持っている学位は「学術学士」である。
何をやって来たのか分からないと思った人、正解。要は教養系学部を出た大卒でしかない。
翻訳会社や仲介サイトに登録する際、専攻や精通分野を聞かれることが多い。
無論、人に胸を張れる専攻があれば素直に書くまで。
私のように教養系だったり、高校の普通科だったり、これといった専攻が見あたらない場合は「この分野なら専門的文書を読み書きできる」と自信がある分野を選ぶとよい。
専攻や取扱分野を自分で特定しかねる場合
何らかの就業経験があればその勤務先で扱っていた事業や自分が目にした書類を振り返る。
現場にいれば普通にやりとりする書類でも、実は専門性の高い内容だったりしないだろうか。
就業経験が何もない場合、...、事務系の職種に就いてみることをおすすめする。


翻訳スクールなるもの
翻訳者になるための本を見ると、かなりの紙面が通訳・翻訳スクールなるものの紹介に割かれている。
大学や文科省認可の機関でない場合が多く、たいていは修了しても学位が得られたり就職できたりするわけではない。
かと言って十把一絡げに暇つぶしのお稽古ごとだと切って捨てるのも勿体ない。
「翻訳というものを体系的に知る」「実際の訳例が見られる」ということの価値にいくらまで出せるかという相談になる。
前者については興味のない向きも多いのか、あまり熱心に教えていないスクールも多い。
むしろ重視すべきは後者、実際どんな文がどう訳されているのかを見る機会だ。
文芸翻訳ならともかく、実務翻訳で扱う文書はたいてい機密文書なので、原文も訳文も通常は公開されていない。
そして、「こういう文はこう訳す」という一種のお約束こそが語学と翻訳を分ける「実用性」に関わってくる。
各校、各講座とも体験授業や見学の機会を設けていることが多いので、迷いがあるならば利用してみるのもよい。
訳文を添削してくれる通信講座も多少あるが、どうしても即座に質問ができないため「体系的学習」より「実例に触れる機会」として利用した方がよい。


あると役に立つ経験・技能
国外の会社と取引をするなら貿易事務の経験が役に立ったりもするが、さして重要ではない。
書類のやりとりそのものより、むしろ通常の通信文作成経験が後からものを言う。
就業経験は無駄にならない
先述のとおり、私の勤務歴は翻訳とは全く関係なさそうなシスアド業務や在庫集計などの方が社内通訳・翻訳歴より長い。
ひたすら数字とにらめっこで、翻訳どころか日本語入力の機会すらなかったこともある。
そういう仕事にも「ならでは」の身につく経験は色々ある。
言葉ならぬデータをどう並べれば分かりやすいか、どう整理すれば容量が節約できるかといった努力と工夫の記憶だ。
翻訳は「辞書での検索結果を当てはめていく」作業というより「同義の言い換え表現を探し出す」側面のほうが強いため、言葉ならぬデータに対しても、意味とその扱い方を考える訓練経験は捨てがたい。
ある仕事を「した」、「引き継いだ」事実
よほど新規性が強い仕事や単発の仕事でもないかぎり、仕事には「引き継ぎ」がつきものである。前任者として資料の準備をしたことや、後任者として細かい質問をした経験はないだろうか。
資料を準備する立場であれば、特定の業務を最初から振り返りいかに誤解なく伝えるかに苦心したはずだ。
もしくは、事前知識のない相手から見た疑問点を指摘され、困惑したことがあるかもしれない。
経験者である自分からすれば知っていて当然のことが相手には分からないと、「何故この程度のことが」と憤ることもあり得る。
その感覚と、それをどう解決したかの経験は非常に有用だ。
引き継ぎを受ける立場であれば、相手がいなくなっても自分で業務を回せるようになるために多くの質問をしたはずだ。
もしくは、把握したつもりでいていざその時に必要な知識が出てこず、前任者や周りの人に泣きついたことはないだろうか。
思いやりとは少し違うものの、そういったことが翻訳にも求められると思っていい。
別言語である前任者から翻訳文を通じて後任者に引き継ぎをするのが実務翻訳の一面でもあるためだ。

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