城崎温泉

唐突に城崎温泉を訪れてみた。
一度、兵庫県を縦断してみたかったのだ。
マンションの林立地帯を抜けると、山、水田、集落と呼ぶにふさわしい家並み、黒豆の畑。
北上するにつれ面白いほど沿線の人口(住宅)密度が下がっていく。
三田以北で市街地と言えそうな駅前は、篠山口、福知山と豊岡ぐらいのものだった。
それも、豊岡は駅前が市街地化しているというより、郊外型店舗が少し多いぐらいの眺めである。


しばらくの単線区間を経てたどり着いた城崎温泉は、想像よりずっと明るかった。
温泉郷としてきれいに整備されており、寂れた感じの店舗もない。
駅前の通りが曲がっており、見通しは悪く交通上は危険そうだったが、古くからの街である証左か。
旅館案内所で手荷物を預けると、宿まで無料で直送されるとのことで少し驚いた。
まずは魚屋の二階にある食堂で海鮮丼に舌鼓を打つ。
街としては蟹が売りのようだったが、まだ解禁前とあり普通の?魚を頂く。メダイが目新しかった。


城崎温泉・出石ぐるりんパスなる企画乗車券の特典で、レンタサイクルを借りることができた。
目的地は同じく特典で入場できる城崎マリンワールド
同園にはバスでも行けるようだったが、バスを待っている間に自転車でも行けそうだと思ったのだ。
4km弱でさほど時間はかからなかったが、楽な道のりではなかった。
歩道がなく路側帯も狭かったので、半ば自動車に怯えながらの旅。
やっと車通りがなくなったと思ったらとどめは上り坂だったので、半分ほど下車して押して歩いた。
マリンワールドは斬新な仕掛けが多く、想像以上に面白かった。
セイウチ実物大のプレートがあって自分と大きさを比べられたり、水族館なのに釣り堀があったり。
「水族館以上、であること」なる謳い文句は伊達ではないと感じた。
土産物屋の品揃えも珍しく、思わず自分用にバッグとマスコットを購入。
ネコザメ、ゴンズイ、チンアナゴ、リュウグウノツカイ。
普通こんな魚のマスコットにはお目にかかれない気がする。


駅前に戻り、レンタサイクルを返却して延長利用分の精算200円也。
宿に電話を掛け迎えに来てもらう。
平日のせいか我々以外に宿泊客がいないとのことで、内湯が独占できた。
いい気分で部屋食を平らげると、あっという間にワインに酔ってしまった。
二人でハーフボトルのそのまた半分も空けていない。
仲居さんに「もういいんですか」と微妙な顔をされたが、そのまま下げてもらう。
城崎温泉名物の外湯には、9時過ぎてから向かった。
温泉の湯そのものは堪能しきった後なので、「一の湯」一軒のみで、界隈の散策を楽しむ。
射的のできる遊技場が健在で、ポスターでは見ていたが改めて感心した。
中で盛り上がるおっさん諸君を外で面白げに観察する白人カップルを更に遠くで眺める我々。
何故かこの円高の折、4月あたりから海外客が多いのだとか(宿の女将・談)。
街のどこにも外国語の表示がないのに、ツウなものだ。