部屋で一休みしているダンナを置いて、ひとり建国南路へ。
そこには土日にしか開催されない花市があるのだ。
高架式の道路の下が500mほど市場になっている。
入口の商品はだいたい道の両側に寄せられているが、進んでいくと中央分離帯のあたりにも物が並ぶ。
意外にも若い買い物客が多く、移動にも一苦労だった。
そんななか、妙な物件を探して歩き回る。
まず見つけたのがこれ。
縁起物っぽい飾りのようだが、なんだかよくわからない丸い物がくるくる回っている。
写真を撮っているだけで視線が気になり触る勇気はなかったが、
石のようなものが噴水に浮いて回っているようだ。
妥当かどうか判らないが、「金は天下の回り物」?
台湾らしいな、と思ったのは「金のなる木」。
装飾でキンキラキンだ。
錆びた銅貨を無理やり通している日本のそれとはだいぶ違う。こちらも派手だ。
幸運=金運=キンキラキン?
植物そのものが「らしい」と言えばこちら。
白からオレンジまであるが、全部ブーゲンビリア。南の島らしい。
でも鉢植えを上から見るのは微妙な感覚。これって温室で高い所に置くものかと思っていたので。
日本っぽい?ものもしっかりある。
ハバネロがあったり、マメデルモンがあったり。
でも集まっている客層は日本のよりオトナ?
これは流行か文化か
地下鉄を乗り継ぎ、念願の「誠品書店」へ。
ビル丸ごと書店だという前情報だったが、上層階はどうも違うらしい。
2階が主で、1階と地下は文具やCDを扱っていた。
まずは1階の文具(と雑貨)売り場。
間違って渋谷の東急にでも入ったかのような風景。
こじゃれた雑貨がひしめいているが、どれも高い。
ダンナ「これってほとんど日本じゃん」
全くそのとおり、と思ってしまった。
iPodなんかもあるが、値段も一緒。
まぁ高いものは高いってことでしょ、と2階へ。
手始めに何が流行っているか見ようとして雑誌売り場を覗いてみると。
……。
日本の雑誌ばかりが目に付く。特に「洋書」扱いでもなさそうだ。
それどころか、普通に平積みされている。
翻訳の余地どころではない。
ファッションしかり、コンピュータしかり。
中国語で出されている雑誌のほうが明らかに少なく、ジャンルも限られている。
株式投資関連と、携帯電話ガイドぐらいだ。
ダンナ「普通に売ってるけど、みんな読めるのかな」
私「…..絵があるから大丈夫なんでない?」
ダンナ「でもLinuxとか」
私「コードとか英語みたいなもんだし」
半笑い。明らかに自信なし。
幸い雑誌以外の棚は中国語の本がほとんどだった。
でもよく見ると著者名が横文字だったりする。
挙句、オレンジページ別冊のような写真だらけの料理本はやはり日本の本が多く並んでいた。
中文和訳として余り明るい前途が見えない。
ともあれ厳選して5冊ほど購入。
詳しい内容は秘密。
流通してません
託送荷物がないので、入管も税関もほいほいと通過。
空港のカウンターはレートがよくないらしいので当座の現金はキャッシングを利用することに。
ATMの周りは無人だったので、安心して引き出せた。
無論ダンナに見張ってもらってはいたが。
宿へ向かうため、台北市内方面へのバスを探す。
4社ぐらいの切符売場が一箇所に集まっていて便利。
下調べで決めていた会社の窓口で宿の名前を言うと
「では100元です」
「2枚で」「では200元です」
ここまではよかった。
去年の旅行で余っていた1000元札を出すと、
「……この札、だめ。銀行で換えて」
?!
「今の札にこの柄は入ってません」
手元では蒋介石が微妙に微笑んでいる。
「え、じゃあ、こっちでいいですか?」
引き出したばかりのピン札を出すと、微妙な笑みで受け取ってもらえた。
「そっちの札は旧版なんだよ」
お釣りを出しながらお兄さんが教えてくれた。
……去年は使えてたのに、使えないなんて不思議。
宿に着いてからフロントの人に聞いてみる。
「この札って使えないんですか?」
「今はもうだめ。銀行で換えるしかない」
「銀行はどこでもいいんですか?」
「……台湾銀行」
ふむ。中央銀行でしか換えられない模様。
中華航空
先月から予約を入れ、待ちに待っていた台北旅行。
書店をじっくり見てみたい。
あわよくば訳して面白そうな本に出会いたい。
行きの飛行機は中華航空CI109便。
ゲームやビデオ鑑賞のできる複合端末つき。
パズルゲーム「上海」で暇をつぶす。
使用感は悪くないのだが、牌の絵がやる気ない。
普通は「一萬」とある牌が「一万」。竹の柄も見たことがないゆらぎっぷりだ。
“Chinese noodle or simple rice?”
え?と思い耳を澄ませても、
「炒麺、還是米飯(焼きそば、それともご飯)?」
普通は肉か魚かが選択肢ではないのか?
さして期待もせず麺を選択。
なかなかどうして、機内食は望外のおいしさだった。
焼きそばは熱いまま出るし、パンも温めてある。デザートも果物3種類とマンゴープリンという豪華さ。
普段は焼きそばと言えばソース味しか認めないダンナも興味ありげにぱくぱくと食べている。
この味についていけるならば(注:私にはおいしい)、夜市に行っても食べられるものはありそうだ。
わかってくれない
土曜日。
父「バイトは大丈夫か。ちゃんとあるか」
きのう。
会社の人「仕事じゃあないんですよね」
……違う。違いますよ皆さん。
曲がりなりにも私は翻訳者。
やや曲がりすぎてる気もするが。
でも翻訳業はバイトでもなければ趣味でもない。
事業。
……どことなく後ろ暗いのは何故だろうか。
密かなる就農
翻訳には関係ないが、農業体験をパッケージ化できないか画策している。
現場を知らない普通の人が、気軽に土に親しめないか。
田舎者を自認する私でも、実は小学校のヘチマ以来ごぶさたしている。
帰省の折、どうにか簡単に体験できないものかと母に相談。
母は多分かなりの園芸マニアである。
私「2~3ヶ月で完結する作物で手軽なものって何?」
母「そうそうないけど、……そうだねえ」
私「トマトとか、どうかな」
母「じゃ買う?」
そんなこんなで、私自身がプチトマトを育ててみることに。
母は手際よく地元の園芸店で苗を仕入れると、
「水だけで育つように」と何だかものすごいらしい土を調合してくれた。
しっとりした大量の土を抱えての山手線には抵抗があったので、
ひとまず苗のポットだけ連れて帰る。
-プチトマト成長記の詳細は東京トマト日記http://www.pixino.com/cgi-bin/diary/anaguma.cgiに記録する予定。
中身がない外身
ある支社の人からメールをもらった。
タイトル「月次レポートです」
本文「お疲れさまです
よろしくお願い致します」
添付ファイル”yome様.lzh”
大丈夫かこれは。
スパムだったり毒だったりしないか。
そもそも中身は何なのだ。
恐る恐る?解凍してみると、ちゃんと2種類のレポートが入っていた。
抗ウイルスソフトも黙っている。ほっ。
えぇと。何か間違ってないか。
自分の名前に様のついたフォルダが手元に。
せめて”5月月次.lzh”だったらよかったのに。
本社にいながら支社より立場の弱い部署なので
(そうじゃなくても)
文句は言えないのだけれど。
見た目
今年は花粉症の人が青山の街中でも変なマスクをしていた。
無理しても外したほうがいいんじゃないの、なんて話をしつつ昼食から戻った矢先。
泊りがけの研修に行っていた上司と目が合った。
いつもはスーツなのに、半そでの開襟シャツに綿パン。
「あ、カジュアルだ」と指を差しそうになると、いつものおはようと同じ笑顔が心なし照れているように見えた。
ええと。
口には出さなかったけど、パパだ。
とってもパパな空気が彼の周りにはあったぞ。
事実に照らしても間違いではないが、やっぱり違和感。
何を敬ってるの?
某サロンから携帯に電話が入った。
「yome様のご携帯でしょうか?」
「……yomeですけど」
私は携帯ではない。
そういえば昔いた派遣会社は複数の人がもっとすごい言葉を使っていた。
「M様のご携帯でいらっしゃいますか?」
こっちの主語は何だというのだ。
別に携帯って口に出さなければいいのでは。
「M様でいらっしゃいますか?」で問題ないはず。
問題なのは電話の相手が誰かなのであって、電話の所有者が判っても意味はなかろう。
でもなぜか携帯だけは「ご携帯」になる。
職場に電話してきた人が「ご勤務先でいらっしゃいますか?」などと聞いてきたことはない。
携帯って持ち主より偉いの?
開店休業
勤務先では今日も出社日ということになっている。
世間様から見ても暦どおりならば平日。
しかし、と言おうか、案の定、と言うべきか、やはり職場は閑散としている。
前回(土曜日)より多く来ているのは営業部門。
私の近所は……隣の島に1人。
先週分の議事録をつけて発送。
業務交通費の精算申請。
月例処理データの確認と受け渡し。
仕事が終わってしまったが、時計を見るとまだ10時。
……残るべきか帰るべきか実に迷う。