JTF翻訳祭つぶやき係

20周年記念JTF翻訳祭に参加してきた。
純粋な聴衆ではなく、講師や司会でもなく、ついったー実況担当という不思議な役回り。
何をしたかと言うと読んで字のごとく、講演内容をひたすら実況していたのだが。
内容そのものは落ち着いてからまとめるとして、ことの経緯を種明かししておこうと思う。


今年のJTF翻訳祭は20周年記念ということもあり、新しい試みで行われることになった。
…という計画をひょんなことから耳にしてしまったのが9月の別イベント(PT)時。
仲間数人で昼食に出ようとしていたところ、偶然かそうでもないのか実行委員の一人である河野弘毅さんに声をかけられたのだった。
河野さんは4月に大阪で西日本セミナーの講師を務められた業界の有名人。
間接的にお世話になっている同業者は売るほどいる。
その大御所からおもむろに「手伝っていただきたいことが」と切り出され、目が点になった。
当初は翻訳祭の開催案内をついったーで告知してほしい、という程度だったのだが。
PTでメモ代りにつぶやいていたのが実況ツイートに見えたらしく、翻訳祭でもやってほしいということに。
今年の翻訳祭はメイン会場と分科会に分かれ、5部屋でそれぞれ別内容の企画があった。
ついては5人で実況してもらえまいか、と…5人?
何故か人選まで任されてしまい、とりあえず乗ってくれそうな仲間に声をかけてみることに。
唐突で中身のない申し出だったのにもかかわらず、皆さんすぐに快諾してくれて驚いた。
集まってくれましたよ、と河野さんに報告してさらに驚かれたのは言うまでもない。


事務局とはメールが2往復ぐらいした程度で、特に打ち合わせもなく前日を迎えた。
どうしたものか、と不安やら疑問やらもやもやしていたのだが、幸い5人が集まれることに。
実際は4人が仕事の都合をつけて集まってくれたというほうが正しい。
決して打ち合わせという名目や目的があったわけではなく、「みんなでご飯」だったのだが。
各人の近況やら仕事云々やらにまぎれて、「そうそう明日なんだけど」と話題になった。
あれこれ気にしていては発信できないし、自分のIDでつぶやくんだからのびのびやりましょうということに。
「いっそ失敗したほうが来年以降の人も気楽だよね」は極論かと思うが、楽しかったのでよしとする。


そして迎えた当日、基調講演から実況ツイートを開始するべく開場前に着席。
書記席の隣を確保しておいてもらえたので、難なくPC用の電源にありついた。
インターネット環境はなかったのだが、WiMAX端末を持参していたので事なきを得る。
そこから終日ずっと実況ツイートに没頭しており、とりあえず疲れたというぐらいしか記憶にない。
講演内容はどうにか覚えてはいるが、それこそツイートを読み返さないと思い出せないほどだ。
全文は書き込むなとか文句は書くなとか要求されていたのだが、正直おかまいなし。
構っている余裕は全くなかった。
ついったーなので時折こちらの書き込みに反応が届いたりもするが、流石に返信はほとんどできず。
返信に頭を使っていたらその間に講演が進んでいってしまう。
最後に「以上、メイン会場からお伝えしました!」と書き込んでやっと一息ついた。
分科会に出ている仲間に声をかけてみると、まだもう一講あるとのこと。
顔を見て挨拶ぐらいしようかと思っていたのだが、その気力がなくなっていたので早々に会場を出てしまった。

みんなでごはん

今回の翻訳祭、実は公認?実況ツイートという珍しい形で参加する。
実行委員の方に依頼されて聴講という不思議な事態だ。
会場が5つに分かれているので、私の他にも4人の方が同様に構えてくれている。
全員が9月のProject Tokyoでご一緒した東京近郊の同業仲間。
唐突に人選を頼まれて声をかけてみたら、こちらも驚くほどすんなりと快諾してくれたのだった。
翻訳祭前日である今日、その皆さんと夕食をご一緒できることに。
各人かなりご多忙だとは聞いていたので、まさか全員が集まれるとは思わず望外の喜び。


待ち合わせ場所に行くと、既に2人が立ち話をしていた。
顔を見るのはちょうど3ヶ月ぶりなのだが、お久しぶりという感じもなくごく自然に合流。
集合時刻の少し前にはみんな集まった。
幹線道路から少し奥に入った住宅地らしき場所のお店へ、にぎやかに移動。
席を予約しておいたはずなのに、どうもお店の人が人数分の確保を忘れていたらしい。
4人卓に所謂お誕生席を添える対応になったので、そこに座ることにした。
フォークが人数分なかったり、補充を頼むと倍ほど持ってきたり。
みんなでくすくすと笑いながら、仕事関連の具体的な近況を話し合ったりした。
誰もが相当の忙しさの中わざわざ集まってくれていることが分かる。
決して誰も恩着せがましいそぶりはしないのだが。
「わー珍しい、仕事の話してるー」
「じゃいつもは?」
「食べ物の話ばっかり」
全員が知らないというペルー料理。飲み物も敢えて想像が付かないものばかりを注文。
美味しいとか不味いとかではなく珍しい味だった。
写真を撮ってみたり、みんなで味見をしたり。


皆さん唐突に巻き込んで済みませんね、と依頼の経緯をかいつまんで説明し、少しだけ打ち合わせ。
「声をかけてくれなかったら参加しなかったかもしれないです」
「貴重な体験ができて本当にうれしいです」
などとお礼を言われてしまって恐縮した。
実況ツイート自体が翻訳祭としても初めての試みなので、まあのびのびやりましょうということに。
「ちゃんと実況できるのかなあ」
「むしろ最初に大失敗しておいたほうが、後の人も気楽だったりして」
「まずは思い出づくりってことで」
大阪土産を配りながら、ああでもないこうでもないと盛り上がる。
こうして集まって一緒に楽しんでくれる仲間ができて、純粋にうれしい。


わいわいしているうち、お店の人がおまけデザートを出してくれた。
ふと気づくと他の卓がすっかり無人になっている。
時計を見ると22時半。
あわてるでもなく精算を済ませ、やや迷子になりながら駅へ移動して解散。
私の宿泊先と方面が同じ人が1人だけいたので、話し足りなかった分?電車で談笑の続き。
本当に楽しいひとときだった。

東京の片隅で

未明に自宅を出て早朝便で羽田へ飛んだ。
とは言え昼食まで用事はないので、空港ラウンジでしばらく暇をつぶす。
いつもなら満席でもおかしくない時間帯なのだが、日曜のせいかラウンジは閑散としていた。
電源とネット接続があって、清潔なお手洗いが確保されていて、飲み物まである。
東京で一番お気に入りの場所かもしれない。


昼食は、ついったーで最近よく会話するようになった女性と初対面。
ついったーで知り合った人と実際に会うのは初めてなのだそうだ。
せっかくなので近隣の仲間も誘ってはみたのだが、あいにく師走で誰もつかまらなかった。
年齢の近い同性ということもあり、おかしな緊張をすることもなく飲食店へ。
twitcardならぬminicardを持参して、好きな写真のものを選んでもらい名刺代りに渡す。
このminicardは100枚それぞれ違うこま写真が背面に刷られているというもの。
普段こま写真に多くコメントをくれている人だったので、話の糸口にはちょうどよかった。
話題は七割方ペット。うさぎとインコではかみ合わないような、意外とそれでいいような。
現在は派遣社員として社内翻訳の仕事をしているそうだ。
派遣期限が切れたら独立になるか、といった辺りから仕事周りの話もちらほら。
私は言語(市場)が違うので経験をそのまま還元してあげられないが、他の諸先輩方から聞いた話をいくつか伝えてみる。
「なるほど、いいこと聞いた!」と目を輝かせてくれたのが収穫ということにしておこう。