声優とカイロプラクターと兼業翻訳者

朝から携帯にメール着信。
同郷のカイロをやっている旧友からだった。
「いつ暇?土日は無理」
流石はサービス業。
共通の友人に声優がいるのだが、彼女(?)の都合は火曜と木曜を外したいとのこと。
収録でもするのだろうか。
会社員まがいの勤務をしている私にとっては何曜日もへったくりもないのだが、
打ち合わせが定期的に入る曜日を外すと月曜か。
それにしてもなんかすごい組み合わせだ。
芸能人とサービス業とフリーターなのか何なのか。
三者とも大学までは普通にストレートだったのに今や皆がどうも普通でない。
尤もこのご時世、何が普通かなんて定義しがたいものではあるが。

担当者に救われる

昼下がり、携帯電話が鳴った。
「先ほどメールしましたが、確認していただけましたか?」
慌ててメールチェックし直したが、何も新着のものがない。
「ま、まだ…..みたいです」
「でしたら、もう一度お送りしますね」
今度は予備アドレスにも送ってくれたらしく、出先用のウェブメーラーで内容が確認できた。
大陸もの中国語の和訳依頼である。
PDFで話の概要は解るのだが、ところどころ読めない。
だめで元々、と思い「読みづらいです」と返信したところ、なんと相手(翻訳会社の担当者)がテキストで書いてくれるという。
これは大助かりだ。
多少きれいな画像を再送してもらえたら御の字だっただけに、文字にまでしてくれるとは望外の喜び。事務作業がなくなるのだ。
そのテキストが届いて、これまた心遣いにびっくり。
古語や成語にコメントをつけてくれていた。
いずれも調べれば判る程度のものではあったのだが、気を利かせてここまでしていてくれるとは。
ただでさえ下請けなのに、頭が上がりそうにない。

同じ「部署」?

同じ列の人あてに某運輸会社から呼び出し。
換わりに受け取ろうと廊下に出ると、何だかあやしい。
弁当箱大のその荷物、同一と思われる品が大量にある。
私「(宛名人)の荷物を取りに来ましたが」
業者「これなんですが、同じ事業部ですのでみんな」
ちょっと待て。事業部、って何人いると思っているのだ。
概算900人。上の階にいるのを足すと4桁いるのに。
しかもその業者、一見さんではなく普段よく見る顔だ。
ざっと100個もある荷物を私が代わりに受け取る所以はない。
やや憤慨して1個だけ受け取り、席に戻る。
私「いくらなんでもフロア全部ってなしですよねぇ」
向かいの人「タダでは配りたくない規模ですよね」
私「3000円ぐらいもらったら配りますかね」
向かいの人「それでも安いでしょ」

本当に来た

先日「ちゃんと取っておくから」と言われた香港からの仕事。
本当に発注されてしまった。
訳文の校正だから楽だろうと思っていたのが甘かった。
長い。50頁ほどのファイルが2つある。
ややこしい。ドル建てファンドの目論見書とその資料だ。
Tradosがフル稼働。
原文と訳文をつき合わせて、用語らしきものを抽出して、やはり見慣れた処理画面に戻すために原文を「翻訳」ごっこ。
ものがWordファイルで本当によかった。
紙だったりPDFだったりしたら2日弱の作業時間では無理だったと思う。
この会社には以前JPEGで紙スキャン原稿を送りつけられたことがあったので
後で思えば今回は幸運だったのだろう、と納品を終えため息。

哀しきすれ違い

今日は会社仕事でちょこっと出張。
隣県まで打ち合わせに出かける用事があった。
出掛けに自席でメールチェックしてみると、香港の会社から英文和訳「急ぎ」の打診。
文面からは対象物も納期も不明なので、とりあえず「検討するから教えて」の一言だけ返信。
心残りのあまり携帯からも十分おきぐらいに確認したが、なかなか翻訳会社からの返事が来ない。
妙にそわそわしつつ、長距離電車に乗る。
揺られること小一時間。
降りる寸前になって再び携帯から覗くと、添付ファイル付きの返信が入っていた。
納期は今日の深夜?
ただでさえ帰りが遅くなるのに受けられるだろうか。
ファイルを見なければ作業量が見積もれない。
幸い打ち合わせの時間までに余裕があったので、下車するなり駅前のマンガ喫茶に駆け込んだ。
「当店は会員制となっており、ご登録が」
背に腹は変えられないのでとっとと登録を済ませる。
いざ!と息も切れ切れにパソコンの画面を覗くと。
どうにか4時間あればできるかも、という微妙な量だった。
「深夜ってことは日本時間23時まで大丈夫?」とメールし15分料金と入会費の210円を支払って店を出る。
打ち合わせを終えて再びメールを確認すると
「返事ないから他の人にしちゃったよん」
……あれ?入れ違ってしまったらしい。
マンガ喫茶で確認したときはそんなメールなかったのに。
よりによって出張のタイミングで急用なんかよこすから。
と脱力のあまりため息が出た。
この悲哀も兼業ならではと言えないでもないが。
香港の担当者、まめなのか人情家なのか、「別件で校正の仕事ちゃんと取っておくから」とのこと。
英語圏の人でも気休めなんて言うんだろうか。

喜んでいいのか?

同じ職場から調査(コンサル?)業で独立したS社長。
独立開業のため退職した割にはまめに顔を見せている。
S社長「社員だった時より働いてるよ」
私「仕事しょいすぎなんじゃないですか?それとも外からしょわされすぎ?」
S社長「両方あるよね、自分のできる範囲が見えてなくて」
私「それじゃパートナーさんとの分担が肝ですかね」
S社長「人を育てるのって、難しいんだよね」
そこに元上司(別部署に異動した人)が通りかかった。
元上司「おやSさんじゃないっすか」
S社長「あ、どうも」
元上司「どうです、新しい会社のほうは」
S社長「忙しいっすよ」
……かくかくしかじか(上と似たような話)。
元上司「……即戦力、って、そう簡単にはねぇ。
    (私のほうを見て)お前はここにおっとけ。誘われてもついてくなよ」
えぇと、光栄ですが私めそっちの能力はあまりないかと。

がんばらされる?

勤務先ではシスアドのような仕事をしている。
管理対象の自前システムは数年かけて作られたもので、毎月のパラメータ更新などは特定のSEにしかできない。
仕様が難しいというより、仕様書がないのだ。
これでは担当者が交代できないではないか、ということで開発者と私が仕様書と運用手順をまとめることになった。
上司「で、いつまでに誰が何をやるか整理しないと」
開発者「しておかないとおちおち死ねません」
……この人が言うと死が洒落にならないので怖い。引きつる二人。
上司「……で、(開発者)日程とか大丈夫なの?」
開発者「ええ、がんばりますから」(笑顔で)「yomeさんが」
私か。……やっぱり私か。