何でも屋のなんにもない時

仕事が途切れてしまうことはどうしてもある。
この商売を始めて10年近くなるが、いつその閑散期が来るかはいまだに読めない。


外国語以外に専門分野のある人ならば、当該分野の学習が効率的であろう。
いかんせん、お恥ずかしい話ながら、自分には専門と呼べるものがない。
強いて挙げても日本企業の一般事務である。
英気を養うようにと言うのはたやすい。
趣味に没頭するだとか、ゆっくりするだとか。
あるいは自ら設定した休日であれば、そういう過ごし方もできるだろう。
「なんにもない時」には休みの予定さえない。
いつ仕事が来るか分からないし、来ればすぐにでも飛びつきたい。
そこでぼーっとネットにかじりつくのも数年前にやめた。
代わりに頼る先は、ありきたりかもしれないが公営の図書館である。
読みたい本が決まっているときは少ない。
日本語であっても意味が分からないような専門書を読み流すことも多い。
理解しようとは欲張らず、浅く広くあれもこれもと欲張っている。
しっかり理解して/覚えていなくとも、「そのへんの文脈」だとさえ分かればいい。
仕事で来た文書がそのどれかに近い分野であれば、調べ物の手がかりにできる。
知識や専門性など上等なものではなく、脳に落書きをするような断片情報。
それでも役に立つ時はたまにある。
たまにしかないが、そもそもが暇つぶしだったのだから恨みっこなし。
何がいつ来るか分からない状態で、確実に打ち返すための英気を養う方法。
やみくもに本を読み流すのが最適解では些か寂しい気もする。
が、少なくとも今の自分にとって、外界や他人様からの刺激を受けることではない。
かといって薄っぺらい自己を掘り下げても無用に穴が空くだけだ。
没頭できる何かがあれば一番いいのかもしれない。
それが一冊の本なのか、全く無関係な趣味なのかは分からないが。
趣味を持つのは英気を養うのと同等以上に難しい(※個人の感想です)

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