通じればいいのか

ミクシィの「サンシャイン牧場」なるものに誘われた。
牧場と銘打っておきながら畑しか与えられていないのはともかく、
ここの日本語表示がすばらしく中国語(の直訳とおぼしき表現)で面食らっている。


・肥料を使うとしばらくは重ねて使えないルールなのだが、
 このときの警告に「土地が豊かで、次のステージで施肥しましょう」と出る。
 語学力のある人が日本語に訳したんですねー、という感じがぬぐえない。


どこまで訳したらいいのか(どこまで原文のニュアンスを保つか)は翻訳の仕事で一番の要であるが、
いくらなんでもコレはないんでないの、とつい独りごちてしまう。
「原文が言っていることではなく、原文が言いたいことを訳せ」のお約束に従うと
上の例では「土地が豊かで」という表現がおかしいのではないだろうか。
ここでの目的は「一定期間、重複して施肥することはできない」旨の警告である。
そこから考えると、安直ながら「肥料を与えたばかりです」としたほうが意図は見えやすい。
また、後半「次のステージで施肥しましょう」も文法的には普通の日本語なのだが
このゲームでは「ステージ」の概念についてどこにも言及がないので、唐突な印象を受ける。


現状:「土地が豊かで、次のステージで施肥しましょう」
試案1:「まだ肥料を与えたばかりです」


ここで後半「次のステージで施肥しましょう」を置き換える表現を考えてもよいのだが、
日本人同士のやりとりでは省略されているほうが自然ではないだろうか。
敢えて付けると「次の肥料はしばらく経ってから与えてください」となるが、冗長に過ぎる。
しかもこの例文、小さな吹き出しの中に表示されるものなのだ。
簡潔に表現しないと読み取りにくくなってしまう。
しかし「施肥」という語彙がこれまたゲームの雰囲気になじまない。
いっそ、
試案2:「次の肥料はしばらく経ってから与えてください」
としたほうが分かりやすい気もする。


あちこちがこんな調子で、普通の(こんな商売ではない)利用者がどう思っているのか少し気になる。
もし「分かる(通じている)から別に気にしない」という人が大多数だと、商売あがったりだ。
しかし一応は日本語として分かる表現なだけに、日本語表現を磨くべきかというと何だか悩ましい。

“通じればいいのか” への2件の返信

  1. 日本のメディア (全国紙) でも、WEBサイトのニュースでは、中国語から上手く訳せていないおかしな日本語はよく見かけますよ。
    (印刷された紙面に載ることは多くないのかもしれませんが)
    例えば、“達成了初步協議” を「初歩的な合意」とした訳文。
    ここは当然「基本的な合意」でなければなりません。

  2. 「初歩的な合意」はわざとかもしれません(苦笑)。
    「基本的な」と日本語で言ってしまうとコンセンサスの度合いが「初歩的な」より高くて、
    すぐ覆るイメージをつけておきたくて「初歩的な」にしているのかも。
    何しろ政治の文脈ですから。ごにょごにょ。

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