自営業でも定期健康診断を、とは言われるが、普段なかなか行く気になれない。
市町村主催のものは日程が不都合だったり、医療機関のものは費用負担が問題だったりする。
まして人間ドックともなると、何万円もかかって時間も縛られ、診断項目はさして多くない。
それを補うであろう存在として勝手に重宝しているのが、献血時のおまけ検査である。
赤十字からの連絡ハガキによると、検査の手法や精度は医療機関並みだという。
各項目について、数字の読み方から標準値まで詳しく列記された説明つき。
そんな血液検査がほぼ好きな時に予約なしで受けられるのはありがたいと思うのだ。
今日は、神戸の南京町で夕食の約束があったので、隣の三宮駅で献血することにした。
献血ルームはJR三宮駅前すぐのミント神戸なる瀟洒なビル、しかも上層階にある。
美しい眺望とまではいかないが、港が見下ろせて開放感のあるところだ。
冷暖房と各種飲料が完備なのは珍しくないとして、ここには何とパソコンがある。
インターネット接続されたパソコンが2台と、持ちこみ用にケーブルとコンセントの用意されたデスクが1箇所。
決して広くはないのだが、呼ばれるのを待つ間に退屈しなくて済み、非常によい。
採血室には20台ほど椅子かベッドか判断つけがたい代物が並べられている。
正面には液晶テレビ、背もたれのちょうど頭を置く部分にはスピーカー搭載。
イヤホンほどではないが耳の近くで音声が聞こえるため、好きな番組を視聴できる。
とは言えテレビを見る習慣のない私には、好きな番組を聞かれても答えかねるのだが。
今日ちょっと気になったのは、「血小板の型の登録」について。
血液検査の担当者が、検体を小分けしながら問診票に目を通していた。
「どこか東日本で型の登録をされていますね。兵庫県でもお願いします」と言われたがぴんとこない。
東京に住んでいた頃どこかのセンターで登録されたのかしら、と答えると
「血小板の型の登録は都道府県単位で行うので、これ…太枠の中を書いていただけませんか?」
登録申請書なるA5ぐらいの帳票とボールペンを渡された。
献血者が自ら手間を掛けて登録を申請するというのも不思議だが、それより登録手続きが存在するということのほうが解せない。
申請した覚えがない東京のどこで私の型が登録されたのだろうか。
まあそうそう悪用のしようがない個人情報だろうとは思うが、何か引っかかった感覚が抜けない。
それにしても献血ルームは個性が豊かというのか品質基準がないというのか、場所によって待遇がまるで違う。
大阪駅前のG25ではキタの街が一望できる広い窓と充実した図書類、選べる粗品。
有楽町の交通会館ではブルーシールアイスクリームがほぼ常備。
渋谷Shibu2ではドーナツ類の軽食が選べて個包装の焼き菓子も多い。
その一方で、献血バスかと思うほど狭くて薄暗いルームもあるのだ。
どこで献血しても一回は一回、というのが何だか不条理に感じる私は、やはり不純だろうか。