このところ暇があれば濫読に勤しんでいるのだが、久々に言語学の専門書。
オリンピックの言語学 -メディアの談話分析なる書名に惹かれて手に取った。
学術論文集なので、素人がさらっと読んでいい加減な感想を垂れ流すのは失礼かもしれない。
仕事柄、自分が純粋な素人であるかは首をひねりたいところなのだが。
扱われている「メディア」は新聞の見出し、雑誌・テレビのインタビュー、ブログなど。
頻出単語の統計をとったり、情意装置なるモデルを適用したりして分析し考察したものだ。
日韓の新聞を比較して両言語の特徴をあぶりだそうとするなど、切り口が面白い。
ただ、言語学そのものの素養が自分に足りないのか、見ていて同意できる結論はなかった。
ひたすら、収集されたデータの羅列そのものを眺めている方が得るものは多かった気がする。
もうちょっと調査の手を広げてくれたら、と歯がゆく感じたところも多い。
かといってこれらを引き継いだ研究をしたいかと問われると、やはり首をひねってしまう。
実務家でありたいという意識が顔を出しているのか、自分でも確証はないが。
感じたのは、言語の特徴というより各国文化の特徴ばかりだった。
無意識にそういうものを読み取ろうとしてしまっていたのかもしれない。
それこそ学者でもあるまい、発見はあったのだからよしとすべきなのだろうが。