一つの全体像

中国語文書なら何でも扱う都合上、浅くとも広く諸事を把握しておく必要性は自覚している。
深く広くが理想的かもしれないが、まずは最初の一歩を踏み出すための足場が大事。
実用書の類は食わず嫌いせず目を通すことにしているが、ある盲点に気づいた。
本よりも実務の近くで生きている文書がある。


本番案件で気づけなかったのだが、株式会社の事業報告書は面白いのだ。
発行する会社の全体像が分かりやすく示されている。
自社に不都合な情報は省かれているかもしれないが、学習には問題ない。
むしろ見て欲しい情報を目立つように表現する手法の参考になったりもする。
また、会社とはどういうものか、一社会人として眺めておくのも悪くない。
組織体制、事業構造に加え、発行時点で注力している分野などを見ることもできる。

実務翻訳は最終顧客が企業であることも多い。
業界や社内の事情も汲むと、訳文の商品性が上がるはずだ。
顧客企業がどこか分かれば都度そこのホームページを見ることも欠かしてはいない。
企業名が示されず特定できない場合は、推定される業界の何社分かを見ることになる。
一個人が引き受ける翻訳の範囲はごく限られているが、企業活動のどの一部なのか。
どこで使われ誰に読まれる文書なのか、想定できるに越したことはない。

閑話休題。
投資家向け事業報告書は株を持っていれば郵送されるのは勿論として、
株主ひろば」などのサイトに全文公開されている場合もある。
ある業界の企業状況を漠然と知りたい場合や「いまどきの会社」を見たい場合に便利だ。
気が向いたら日経ネットなり四季報なりで関連情報を調べれば、世界は広がる。
社会に目を開くというのは、あるいはこういう切り口もあるのかと思った次第。

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