数年前この時期に仕事のしすぎと思しき腱鞘炎にかかり、作業環境を整えた。
帰省などに備えてパソコンはノート機なのだが、ディスプレイとキーボードを購入。
さらにゲーム用9ボタンマウスも導入してだいぶ楽になっていた。
が、今般やってきたローカライズ案件はどうも左手がつらい。
考えてみると、「訳文はすべて””で囲め」という指示のせいだった。
お恥ずかしながらローカライズ専用ツールを使う作業は本件が初めてだった。
CSVやらXLSに書き出された原稿の処理なら通常のTRADOS環境で問題ない。
それが今回は「翻訳者向けは無償なので」とPassoloを指定されたのだ。
支給ファイルを跨ぐ訳文の流用ができないのは措く。
TMX書き出しができないものは致し方ない。
問題は前述の「””」だ。
Shiftキーと2キーを同時に押してF10キーで半角に変えて確定の手間ときたら。
左手の薬指が攣りかけてしまった。
Passoloの仕様で訳文の入力欄には原文の写しが入っている。
なまじ原文も漢字なもので半端に流用しようとするからいけないのかもしれない。
いったん全消去して「””」だけ入れるのが効率的には思えなかった。
そうそう休んでもいられないので付け焼き刃でも対策を講じることに。
マウスG300のボタン割り付けを一部変更して「”」ボタンを設けた。
通常は青モードで使っているが緑モードに同様の設定を施し中央のみ変更。
この案件を進めるときだけ緑モードを使えばいいということにした。
あいにく半角への変換はできないのでF10キーを押して確定する手間は残る。
それでも局所疲労は軽減したかに見えた。
が。青モードでそこに割り付けていた「切り取り」のつもりでつい押してしまう。
やはり一時的なものを使いこなす学習コストは高い。
ようやく慣れてきたころには未処理の原稿がなくなっていた。
考える暇と入力する手間暇のバランスが課題として残っている。
後者を削る技術はよく話題になっているようだが、個人的には頭がついていかない。
自分は普段「考えながら入力」するというより「入力しながら考え」ている。
得てして入力している間に次のことを考えていたりするので始末が悪い。
効率化のため道具を使おうとすると、道具のために意識が割かれる。
意識が割けないと、たとえば移動するつもりで選んだ文字列を「”」で潰してしまう。
潰してしまうと思考を中断して何が起こったのか捉え直すはめになる。
不器用なのか無意識に使いこなせる道具は決して多くはない。
自分のいわゆる生産性はすでに頭打ちなのかもしれない。
半角の ” または “” を、たとえば「いん」という読みで
辞書に単語登録してみては?
なるほど、辞書登録という手もありましたね。気づきませんでした。ありがとうございます。