私が上海を訪れる目的は、以前から決まって本の購入である。
特に今回は他のことをする気がほとんどない。
旅好きな私が我ながら珍しいことに余り出歩く欲を感じないのは
入国時の地下鉄で通勤ラッシュにまみれたせいだろうか。
今回はいつもの上海書城ではなく、中山公園の龍強書城なるところへ行ってみた。
紹介記事によるとだいぶ広そうだし、なにしろ地下鉄駅に直結のビルだというのがうれしい。
大量に買い込むことが予想されているだけに、駅から遠いのは避けたいところ。
入ってみるとBGMは何故かELT(もちろん日本語)だった。
日本人からすると今更といった感のある曲目だったが、意外と静かな雰囲気に溶け込んでいる。
売り場も広いが通路も広い。立ち読み?の人が足を伸ばして座っていてもぶつかる心配がなかった。
フロアの中程には休憩用の椅子まで用意されている親切さ。
店員さんもお客も「文明的」で、落ち着いて店内を散策できた。
しかし探しても探しても目的の代物が見つからない。
英漢辞書だけでも200冊ぐらいあるのだが、どれも語学学習用の趣で仕事用のそれではないのだ。
諦めていつもの本屋に行こうかと思い始めた矢先、目の前に階段を発見。
中二階構造になっているらしくもう1フロアあったのだ。
科学技術の、工業の、電機か機械、と訪ね歩いてようやく発見。
一冊でも手に取るのを躊躇する分厚さの専門用語辞書。
電機と機械が一冊になっているらしい。
ついでに科学技術全般のものと化学のものも探し出した。
あいにくシリーズはばらばらで対訳が日本語だったり英語だったりするが
解釈のヒントになればそれで満足なのでそのまま買い込む。
三冊の辞書を抱えてそのまま生活書あたりを見ていると、
店員らしき男性がカートを差し出してくれた。
両手が空いたのと心遣いが嬉しかったのとで気分よく薬膳やら人物伝やらを物色。
流石に何でもしょって帰るわけにはいかないので家庭料理と自己啓発の本を買うことにした。