自営だから

自営業というと小規模の商店や飲食店が思い浮かぶが、フリーランスもその一態様ではある。
私の場合は再委託先パートナーや専従者がいないので人件費や原価はかからないが、
働き方によっては同業でもそうした費用がかかる人もあろう。
フリーランスとして活動するのは独立ではあれ起業ではないような気がする。
反して飲食店を開くとなると、華々しい夢のようなものがあるのではなかろうか。
興味はあるものの、経験者に話を聞く機会はないので時々その手の本を読んでみたりする。


飲食店を開こうという気はさらさらないのだが、今回は脱サラしてお店をオープンする人の8割がなぜ失敗するのかなる本を手に取った。
書名の問いに対する答えが整然と並んでいる体ではない。
店舗物件の取得やら業態の選定やら、具体的な話は飲食店に絞ってある。
(著者がその道のプロなので当然と言えば当然だが)
しかし脱サラを検討中の人が想定読者であるためか、心構えに関する話題も多い。
「オーナーになったら節制せよ」「立ち直りに効く自己流処方箋を持とう」などなど。
個別には全く当然のことで、改めて指摘されるまでもなく意識していることばかりではある。
言われないと分からないほど勤め人は守られているのか?と首を傾げたくもなるが、
後輩予備軍に対する温かい眼差しなのだろう。
一人では限界がある、何でも抱え込もうとせず相談相手を持て、との旨が繰り返し出てくる。
そのうえで、最終決断は自分で、どんな選択も自由だ、という。
何も恐ろしい失敗例ばかりを並べて開業を思いとどまらせようという本ではないのだ。
開業という夢を前に舞い上がってしまいがちだから、意識して冷静になれと。
手を変え品を変えそうした励ましが何度も出てくる。


そう言えば、この仕事も始めるまでは夢だったなと思い出した。
夢は叶えば夢ではなく、現実である。
舞い上がるというよりは拍子抜けしたほうなのだが、何か大事なものを思い出した気がする。

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