小さな物語

直前まで逡巡した末、IJET23プレイベントに出てきた。
イベントに出たと言っても黙々とツイートしていただけではあるが。


ポストモダンの今、翻訳者はどうあるべきかといった問題提起の講義。
本業の腕さえ磨いていれば安定して仕事も収入もある「大きな物語」は終わった、と。
自分にはこれができる、分かる、こんな価値があるという「小さな物語」の提示が要るという。
また、一件一件の仕事にもそれぞれ「小さな物語」はついて回る。
翻訳「作品」を現代アート作品に準える視点は面白かった。
不定形の商品で本来価格など決まっていないという共通性の指摘である。
翻訳「作品」の価値を決める責任(ないし自由)は自分にもあるという例が何件か示された。
実際の方法論としては仕事用のホームページなりブログなりを作れ、に尽きたが。
需要先が翻訳を発注しようとしてまず翻訳会社に行き着くのは何故か。
例えばネットでの検索結果に個人翻訳者が浮上してこないからではないかというのだ。
信頼できる翻訳者なるものが見つからないから翻訳会社に当たるのだと。
であれば、自分が信頼に足る翻訳者であることを発信していくべきだという話だった。


休憩を挟んで翻訳者3名と翻訳会社のコーディネイター1名によるパネルディスカッション。
当初の議題は不況との向き合い方だったが、不況で収入減という人はいなかった。
それまで築いた信頼の上に仕事がやってきていたのだろうという印象。
レート(翻訳料金)交渉についての質疑は興味深かった。
引き上げの要求があれば応じるものの、結果として発注件数は減らしかねないとのこと。
商取引である以上は経済的合理性が先に立つのがまあ当然だとは思う。
こちらとしても、引き下げの要求があれば優先順位を下げるという対応になるだろう。
表と裏と言ってしまえばそれまでだが、現場からの証言であったことは重い。


うぬぼれていたのか、今回のついったー実況は失敗だったかもしれない。
瞬時に理解して第三者に伝えることの難しさに対して認識が甘かったと反省している。

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