心をもつロボット読了。
比喩でも何でもなく、それを創る試みが綴られている。
200Pを超えるが一挙に読み切ってしまった。
実際には心というより意識を持つロボットの話である。
ロボットというまっさらなものに意識を持たせるとは、どういうことか。
意識というものの定義から始まる。
認知心理学から構造主義哲学まで、およそ機械とはほど遠い話が次々と出てきた。
なるほど事象を切り分けて観察するとそういうことになるのか。
飽くまでもさらっと読みやすく紹介していたが、そこに至る理解の深さを思った。
自分が突き詰めるもののために、却って視野はどんどん広げていく姿勢。
その中心にあるものこそ、著者の言う意識の核というものだろう。
機能上は誰でも同じように構築されていながら、実際には個々に発展していくもの。
感じ取り、判断して、次の行動につなげていくことそのものが意識であると理解している。
そして、その意識を載せ運ぶ媒体が言葉であるとの観点にただただ頷いた。
普段の思考においては内言、他者への伝達においては表現。
「正しく伝える」営みの芯に通っている何かが垣間見えた気がする。