今回のJTFセミナーは講義本体も十分に有意義だったが、交流会にも出てみた。
交流会の参加者には翻訳会社から来ている人が多いので「営業」の機会にもなる。
また、担当者のみならず経営層も顔を出しているので、面白い話も聞けるのだ。
普段の仕事で意識することはあまりないが、実は日々これ競争である。
発注元が依頼してくれなければ仕事が来ることはない。
数いる登録者の中から担当者が選んでくれるからこそ仕事にありつける。
形こそ見えないが競争は確実に存在するのだ。
某社長と話をしていてはっとしたのが、「発注側から見た」料金交渉のその後。
例えば私が料率Bから交渉して料率Aに引き上げてもらったとする。
その先には、以前から料率Aでその会社の仕事を請けている登録翻訳者がいるのだ。
「この人は料率Bだったから我慢できたけど、料率Aで出すなら他にもいるよ」
当然と言えば当然なのだが、料率A相応の仕事をしないと選んでもらえない。
しかし料率Aの品質(期待)水準は開示されない情報である。
相手の見えない競争に勝たねばならないとも言えるだろう。
「要はその報酬を出してでもその人に頼みたいと思えるかどうか」
どう条件を揃えれば使ってくれますか、という単純な話にまとまりはしない。
「上に行くほどフィードバックも出しにくくなる。失礼に当たるから」
つまり、気軽には使いにくくなる。
使いにくいが使いやすく(フィードバック)する気も起きにくいということは、…使わなくなる。
他にも発注先登録者はいるのだから。
ではどうすればいいのだろう。
私見と言うにも浅はかだが、各担当者に好かれるしかないと思う。
「私はこの人にお願いしたい」と思ってくれる担当者を増やせるよう努めるのだ。
まともに仕事をするのは大前提として、その上に目指せるものは何だろう。
ごく漠然とした表現になるが、「対応の良さ」が肝のようだ。
まず思い当たるのは、誠実さ、反応の早さ、礼儀正しさ。
きっともっとあるが、分かっていることから手を付けても罰は当たるまい。
それこそ見えない競争なので、まずは自己最高を常に心がける。
生業にする以上、マラソンのようなものか。