県主催の中国語講座があと2回あるので迷ったが、都内の出版翻訳講座に申し込んだ。
体験授業があまりにも面白かったので、続きを聞きたくて仕方がない。
講座本番は隔週で日中と中日が交互するが、初回は日中訳講座だった。
初めということもあり、内容は出版に特化したものではない翻訳概論だった。
冒頭のお題は「レジ袋」。
一般的な中国語訳は「塑料袋」などとなる。
「レジ袋」は日中辞典に載っていないし、「レジ」の訳語は「塑料」ではない。
そもそも「レジ袋」とは何なのか。
レジで使う袋。
特に説明がなくとも自動的にそう解釈できるのは、日本語が母語だからだという。
個々人が日本語だけ使う分には、その成り立ちなど意識する必要はない。
ところが、翻訳の先にいる読者は日本語を知らないことが前提である。
翻訳そのものは説明ではないが、説明できない言葉を用いるのはプロではない。
ゆえに、対応表現の丸暗記で思考停止せず、語の成り立ちを意識せよという。
また、成り立ちを意識することで語彙の引き出しができる。
当然ながら、翻訳対象言語である中国語についても同じ視点が役に立つ。
しらみつぶしに単語や熟語を覚えるより、構造を把握するほうが実用的なのだ。
そういった論旨で実例をいくつか出題され、悩んでいるうちに時間は過ぎた。
考え方も一度で身につくものではないので反復練習とのこと。
次回からは宿題の回答に添削と考察が入る形になる。
宿題も当然、辞書の引きようがない「ありふれた」強敵ばかりだった。
説明の要りそうな箇所は見当が付くものの、どう説明したものか。
どの側面を、どこまで、どの言葉で。
試行錯誤は続く。
拙訳は真っ赤に直されるだろうが、楽しみになってきた。