月餅できるかな 試食

出版翻訳講座の仲間から要望があったので、月餅を持参してみた。
思いのほか好評だったので、生地の製法は今回のものを基礎にしていく。
・薄力粉150g:専用シロップ80g:ピーナツ油30g
・焼成は予熱なしオーブン200℃で18分


依頼人だけに渡すのもなんなので教室で振る舞ったところ、ほぼ全員に驚かれた。
「こんなもの家庭でできるんですか?」
「そもそも何でできてるの?焼いてるの?揚げてるの?」
中国人にまで驚かれたのは意外だったが、背景の話が面白い。

・月餅は月見団子のような存在なので年中あるわけではない
この知識は一応あった。
年中あるのは中華街ぐらいのものだそうだ。

・作り方を見聞きしたことがない
向こうの所謂レシピサイトを覗いてもほぼ載っていないので本当のようだ。

さらにその背景として
・女性がそれほど家事をしない
「大躍進」以降、勤めに出るようになった中国の女性は料理をしなくなったという。
普段の食事は食堂で済ませるか総菜を買って帰る程度、料理の担当は娘。
専業主婦(あちらでは「家庭主婦」)の扱いは相当に低いのだそうだ。
「有名女優が手料理を振る舞うなんてあり得ません。評価がた落ちです」
「掃除も週に何度かまとめてパートを雇うのがステータス」
まともに料理ができるのは講師(50代)の2世代上までとのこと。
すぐ上の世代に至ると、知らないので伝えられない人すらいるそうだ。
「お菓子を作るとか、掃除できれいになるとかいう幸せの概念はなさそうです」
「日本の女性ってすごいですね。働いてても家事もする。最初は驚きました」
普通に目にして育ってきたが、母達はすごいのだ。
「これは本物だ懐かしい、おばあちゃんの味がする」と先生は眼を細めた。
日本語にはない「失傳」なる単語が脳裏をよぎった。

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