直す職人

1か月ほど前、鞄を修理に出した。
現物写真を撮り忘れたが、製造元で紹介されている「ケース1」とほぼ同じ状態。
製造元では納期も料金も「要問い合わせ」なので、都内の修理業者を訪ねてみた。


恵比寿駅から歩けるところにある「シャングリラ」。
依頼の品を送りつけてもいいそうだが、都内に出るついでがあって足を運んでみた。
クリーニング店ほどの工房に若者が3人。
とても忙しそうだったが、声を掛けると気分よく応対してくれた。
鞄を見せると、修理方法は2通りあるという。
風合いの保存を優先して穴より内側に縫い詰めるか、別の布や革を当てて縫うか。
前者だと容量は小さくなりますが、と注意もくれた。
前後左右で非対称な穴が空いているため、最も大きい穴に合わせて生地をつまむ。
穴の際ではなく、ほつれにくい強度を確保するためもう数ミリ内側を縫うという。
何割も縮むわけでなし、そちらの対応でお願いした。
正直なところ、別生地を選ぶセンスに全く自信がなかったからでもある。
通常なら半月のところ、年末休業が挟まるのでもう少しかかると言われた。
帰省に使う予定もないので、仕上がったら送ってくれるように頼み住所を伝える。
送料がかかると言われても、電車で往復するよりは安い。
「(鞄本体の)ほつれ縫いは単価1500円ですが」と彼女が改めて鞄を覗いた。
「技術的に簡単ですので、左右2箇所を合わせて2500円で結構です」
書類を見るでもなく、同僚に聞くでもなく、個人の判断で値引きを決めたらしい。
「得した」、「ありがたい」より先に「かっこいい」とため息が出た。
目の前の仕事をいくらでできるか即答できる。
いつも諾否しか回答しない自分には些か耳が痛かった。
ちょうど帰宅した日に完了連絡があった。
ビニルの上から紙袋で二重に包まれ翌日に到着。
やや浅くなった程度で思ったほども小さくなっていない。
必要十分の仕事を、気分よくしてくれた感じがする。
機嫌もだいぶ直った。

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