クックパッドを見ると「簡単」「失敗しない」などと称する紹介文が多い。
いかんせん「簡単」な料理も「失敗しない」はずの料理も失敗するときは失敗する。
自分の不器用さを棚に上げるつもりではないが。
実は「簡単」な料理の「簡単」は調理工程そのものを指してはいないのではないか。
「簡単な料理」と聞くとまず頭に浮かぶのは「そもそもの作りが簡単な料理」だ。
「失敗しない料理」ならば「失敗しないように手順の工夫された料理」を期待する。
ところが「簡単」な料理の記事本文を見ると「記事の作りが簡単」なことが多い。
例えば、オムレツを「ふんわりと焼き上げます」と書いてある。
どう焼けばふんわり仕上がるのかの情報は前後の文にも書かれていない。
それで「失敗しない」のはすでに習得しているか器用な人だけではなかろうか。
「教えるのが簡単」ないし「教え方が簡単」な料理というわけだ。
自分はそうはするまいと、再現性に留意して書き込むことにしている。
分量、時間、できれば温度も数字を多用すれば少しはましだろう。
複雑な工程は複雑なまま書かず、何分割でもして単純な絵を取り出す。
「ふんわり」「とろとろ」などと書かず、「すくってみて垂れない程度」などとする。
というように努めた方が記事の実用性は上がると信じているのだが。
手順が多くうるさい記事にしか見えないものだろうか。
仕事の「これ簡単ですから」にも似た臭いを感じる。
発言主から見た扱いが簡単なのであって、業務として簡単とはまったく限らない。
「簡単にやっちゃって」はなおさらだ。
質の悪いことにそういう場合、相手は「簡単さ」を信じているので失敗は許されない。
この簡単に考えている相手ほど難しいものもない。
難しさが分からないから簡単に考えているに相違ないからだ。
そういう場合、ぱっと見に目に付く悪条件があれば即座に指摘して注意を促す。
なくとも安易には引き受けず、他の案件より厳しい見積もりを返すことにしている。
感情的には説教してやりたいぐらいのこともあるが、時間が惜しいので自粛。
時給や月給がもらえる取引ではないので本業以外にかかる手間暇は抑えたい。
それこそそのへんを簡単に済ませられたらどれほど楽なことか。