形なきものの品質

気に入った美容室を見つけるのは難しい。
今年は早くに見つけたのだが、閉店されてしまった。
幸い好ましい他店にありついたのだが、ちょっと考えた。
「気に入らなければ美容師を何度でも交代します」

近年は美容師もフリーランスが多いらしい。
つまり我々と対比しやすくなっている。

  • 窓口は{美容室/翻訳会社}
  • 技術を提供するのは{美容師/翻訳者}
  • 価格を提示するのは{美容室/翻訳会社}
  • メニューを決めるのは{美容室/翻訳会社}

ここでメニューにはかなりの差があるかもしれない。
カラーやトリートメントは資材に依存するからだ。
これらはカットほど美容師を選ばない。
取り扱いがあるかないかデジタルに決まる。
而して検索条件に指定しやすい。

違うと感じるのは指名の可否だ。
美容室でも非対応のところはあるし、逆もまた然り。
とは言え美容師は利用客から「顔が見える」。
利用客が美容師ごと移籍してしまうこともままある。
斯界でそういった話は見聞きしない。
「顔が見えない」だけでなく、掛け持ちもできるからか。

だとすると、斯界で「顔が見える」のは誰だろう。
視覚的な意味では存在しない場合もありそうだ。
疑問はそこではない。
翻訳者個人ではなく翻訳会社の「らしさ」は何処に?
チェッカーではないだろうか。
品質保障体系の核として、各社のカラーを決めるのは。
そのチェッカーも得てしてフリーランスなのだが。
そして翻訳者とチェッカーに直接の対話はない。
決まって間にコーディネイターが挟まる。
修正指示に揺れがあると対応に困る。
その修正指示を出しているのは誰だろう。
「御社としての方針はどちらですか?」
これを翻訳者に訊かせたらおしまいではなかろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です