ひどい案件に当たってしまった。
支給された作業用ファイルに不備がある。
金曜夕方受注、月曜午前納期。
某ツールでの作業を指定され、翻訳料金が割り引かれている。
そのツールの制約上、こちらでファイルの差し替えはできない。
延々と一分節ずつ原文を修正する作業が必要だった。
週明けが納期なので差し替えファイルの支給は待てない。
背景として、そもそもの原稿がPDFファイルだった。
それを何らかのツールで変換したものが作業用ファイルだ。
不備があれば原稿を当たれというのはいつものことだ、が。
変換ツールによる誤字が多い。
百歩譲って漢字が間違うのはともかく、数字までおかしい。
しかも数字が原文と訳文で合わなければ「エラー」だ。
「エラー」の修正はこちらの責任である。
さらに、原稿には段組の箇所と表が入っていた。
しかし作業用ファイルには一連の文字列が入っている。
枠単位で内容を切り貼りする作業も発生した。
さて、上記の作業は翻訳ではない。
強いて言えば「原稿の整理」だ。
請け負っているのは「翻訳」作業なのだが。
そして「翻訳」に対する料金しか確約されていない。
「原稿の整理」はこちらの仕事なのだろうか。
こちらの仕事だとして、料金を請求できるものだろうか。
「原稿の整理」は必ずしも発生する作業ではない。
ゆえに翻訳会社の誰かの仕事だと思っていた。
「原稿を当たれ」で彼らの責任は全うされているのか。
唯々諾々と不毛な作業を背負うか。
干されるのを覚悟で値上げを申し出るか。
そのどちらでもない合理的な着地点が欲しい。
否、干され上等か。