人様のお金で勉強できるなんて何年ぶりだろう。
特許翻訳の勉強会に参加してきた。
取引先である翻訳会社が、その客先から講師を招いての勉強会。
参加した登録翻訳者は全員で3人。
偶然なのかそうでもないのか、他の2人は中国語講師と兼業だとのこと。
中国語翻訳の(通訳もしない)専業というのはやはり珍しいのだそうだ。
講師は大企業の特許部門に勤務する弁理士。
依頼元から見て「何故」「どのような」翻訳が必要かの背景から説明があった。
・構成要素の突き合わせ作業に使うので、文の構成は動かさない
・原文が(どう考えても)誤っているとき、そのまま訳して見解は申し送る
・同一案件に対する国際分類コードが必ずしも一意でない(コードの理解が必要)
これだけ見せられたら「当然」「普通」と思って読み流してしまうかもしれない。
ただ、それぞれの事象にはそれなりの背景があるのだ。
依頼元は原文が読めない/読めなくてもいい、ということを改めて肝に銘じた次第。
特許公報の文書は利害のない第三者から見ると目が回るような悪文だが、理由はある。
国際的に統一した書式とできるだけ摺り合わせた結果、という背景もあったのだ。
調べたい相手国の言語が分からなくとも、統一書式であれば調べる糸口にはなる。
概要を照会して満足できればよし、詳細が気になればそこで翻訳にかけるもよし。
そういう入り口あってこそ、「特許翻訳」が発生する。
こういう説明を頂けたのは初めてだが、実にありがたい。
ただ訳せ、ちゃんと訳せとだけ言われるよりずっと納得できる。
品質のためにはコミュニケーションも大事なので質問など遠慮なく、とのこと。
案件そのものがいつ来るか判らないが、これまでにない緊張を感じる。
顔が見える効果というものもあるのだろうか。