更に病状が悪化し、本格的に体調が狂ってきた。でも授業には出る。
どうせ部屋にいてもおとなしく寝ていられそうではないので、気晴らし半分。
六限までぎっしりという日程は参加してみると予想外につらかったのだが。
それに今日は書類が揃ったこともあって公安に行くと宣言してしまっている。
直接には公安の発行する書類がないと大使館に交渉できないのだ。
余り他人様に迷惑をかけるわけにもいかないし、当てになる人ももういない。
かくなる上はと腹を括り、放課後すぐにタクシーを拾う。これだけでも一仕事。
来校以来ずっと団体行動だったので自ら方向を告げた経験すらなかったからである。
三人目の運ちゃんがやっと場所を分かったらしく、公安前まで走ってくれた。
その間じゅう、メーターが気になって仕方がない。羹に懲りて何とやら、である。
何とかぼられもせず到着。とりあえず最寄りの窓口で係がどこか聞いてみる。
幸い聞いた相手が担当している仕事らしく、すぐに関係書類を要求された。
国籍証明がないと分かっても焦らず航空券がないか聞いてくるあたり慣れたものだ。
往復切符で来ていたのが私の最後のツキだったな、と実感してため息が出た。
言われるままに航空券のコピーを用意して質問表と一緒に提出。
四五日かかると言われて不審がると、係の人は英語で丁寧に言い直してくれた。
とりあえず部屋に電話をくれるそうなので、まあいいか。
だるいのでバスを探す気力もなく、再びタクシーを拾って帰る。
案外こんな語学力でも何とかなることはあるものだ。でもつけあがると後が怖い。
思うに、それが中国である。多分。