景色も民族も神秘!そして不可解な果物たち…..

於:上海→桂林
とりあえず朝っぱらから上海虹橋国際空港で記念撮影。多分もうそんな機会ないから。
あほらしいながら面白いので勧められるまま「上海」の文字を頂いてまず一枚。
写るんですの残り六枚なのにこんなとこで使って何やってんだろ、私。
飛行機が桂林についたのは正午ちょっと前だった。団体が来ているのか日本人客が多い。
ふと見ると誰もタクシーを拾っていないので思わず顔を見合せる。
何だか気持ち悪いので我々も空港ミニバスに乗って市街へ向かうことにした。
鄙びた町並といい、平地からぽこぽこ出ている岩山といい、まるで現実ではないような景色が続く。
二期作の何かが青々と棚田を満たしているが、道を流れていく人々はみんな上海より厚着だった。
ここってぬくいのか?寒いのか?よく判らないのでセーターを重ね着してみたが暑くない…..。
中心市街は言わばただの都市なのだが、狭い区間に多くの商店が建ち並ぶので濃い感じ。
路線名標識が数百mおきにしか見当らないので現在位置を確かめるのにすら往生した。
昼休みのせいか人影もまばらな市街地を少しさまよって本にある美食城とやらに着いたが、何のことはない。
やや怪しい大衆食堂の雑居施設だった。不安につき宿へ直行することに。
見たことのない国産車(見た目が実に古めかしい)を拾うと、初乗りからして安かった。
で、問題の五つ星「桂林帝苑酒店」。思わず一言「あれ?これ桂林最高級なのか?」
熱帯風の中庭はまあしっかりしていて壮観なのだが、客の出入りしている様子がない。
しかも数人しかいない服務員ほぼみんなが眠そうでやる気なげ。
「日本語でどうぞ」の札を付けたおねえちゃんが何故か中国語で「これはプレゼントです」。
そして差し出されたものは、ちゃちながら星が五つ入ったキーホルダー。…..。
やはり食事は外でいいやということになり、まず明日の漓江下りを予約に行く。
この漓江下りというのが曲者で、パック旅行として早目に申し込まねばいけないのだ。
更にこの冬場などは水がないと中断や中止の場合すらあるという。善は急げ、で宿の旅行部へ。
英語と日本語のついたパック旅行一覧から漓江下りを選ぶ。値段を確認して申し込む。
ガイドの確保をするとかで受付のおねえちゃんが電話をかける。隣の電話が鳴る。
おねえちゃんが切る。切れる。をい、これは五星級サービスの一人コントか?
ともあれことが済んだので、割と近くの観光名所「伏波山」まで食堂を物色しつつ歩く。
蛇や蛙どころかドブ鼠まで食材として大切に(?)飼っているような所へは流石に足が向かない。
そして伏波山は見れども近づけず。登っている人間は見えるのに入口が閉ざされていた。
正門は蛇腹式の門扉がチャリ鍵で括ってあるし、横に回ると朽ちかけた扉に南京錠…..も、いっか。
次に歩いて数分の市内最高峰「独秀峰」へ。今は大学らしい旧王城跡の真ん中にぽこっとある山。
校門で入場料を取られるのも何だか変だが、旧王城跡の参観料だと言われると頷くしかない。
確かに明代あたりの施設が多く保存されているし、構内もまあいい雰囲気ではあった。
そして、急な山を階段で登る。手すりこそあるものの、石段は高く幅が狭い。何度か落ちそうになる。
頂上に着く頃には息も切れ切れだった。思い切り失笑を買う。だって足の長さが足りなくて(泣)!
景色を眺めていると「わっせ、わっせ」と奇妙なため息をつく現地のおにいちゃんにつかまり話に付き合わされる。
さっきの絵はがきはもっと安く買えただの陽朔(川下りの終点)にはバスで行けだのやかましい。
とりあえず話を聞き流して「いらん」を連発。石段を二割ほど降りたところでやっと解放された。
時間がいい加減おしてきたので車を拾い「西山公園」に向う。流れる景色が面白い。
見るからに違う民族の人々がチャリやら三輪車やらで町を走っているが、道は混んでいない。
上海を見慣れすぎたせいで田舎は人が少なく見えるんだろうか。のどかな町の風景が続く。
雑居ビルどころか古いアパートの各室に各業者が雑居しているといった感じ。美容室から旅行社まで。
これが南かというほど寒いせいか公園の人手は少なかった。用務員がビリヤードで遊んでいる。
ボート遊びをしている複数組の中年男女に二人で失笑。許されへんやろ、これぇ。
その付近は人造の池らしく、優雅な四阿なんかがいくつかたたずんでいた。確かに眺めはいい。
が、自然山水館なるところにいってみると用務員らしきおっちゃんがクダを巻いて登場。我々は退場。
挙句、楽しみにしていた博物館(荘族の資料がある)は封鎖されていた。しかもチャリ鍵で。
たくさん回ったぞ!見たぞ!…..といったところでお腹が空いてきた。気づけば五時。
何か地元のものをといいつつ観光優先で歩いてしまっていたので、夕飯は本格的に摂ろうと決定。
シェラトンで桂林風味の何とやらを探していたら、妖しい日本語の売子さんに結構たかられた。
ここの五つ星って本当に一体…..その食堂もホテルの外で、行ってみたら準備中だった。
出たついで街を歩いてみようと方針転換し、えもいわれぬ臭いの中をちょっと探索。
「米国カリフォルニア風」串焼、って…..連れいわく「ないぞそんなもん」。
面妖な食材の屋台もあれば、食べ方の判らない果物屋なんてのも並んでいる。
目抜通り(?)を軽く一往復した中でひときわ気になったのが「桂林湯城」。
寒いから汁物もほしいねと言っていたところでもあり、店構えが清潔そうなので入ることに。
料理名を見ても何のことだか二人が二人さっぱり判らない。説明を聞くがそれでもぴんとこない。
えぇいもういいや、とばかり名前の妖しい順から炒め物・揚物・主食を注文してみる。
名前からして汁物の専門店なので一鍋どれかとりたいが、見ていると四人分はありそうで迷う。
しばらく間を置いてから、雀が入っているとかいう汁をとることにした。
料理はどれもあっさりめで美味だった。不思議なクリームソースに感心しているうち、すずめ汁ついに登場。
ぱっと見に具はなさそうだったが、混ぜてみると…..赤裸の雀が!何羽もおるぅぅぅ!
どうしたもんかと箸でつんつんしている私をよそに、隣は平然と頭からかじっている。
「うまいから食べなよ」うぅん、でも…..。とりあえず汁を啜る。甘みがあって悔しいほど旨い。
そして恐る恐る雀を食す。何だか鶏レバーのような一癖ある味だった。だしだけでいいや。
汁には雀の他に蓮の実・枸杞・木耳・押し麦のようなものが入っていて漢方の神秘を見た気分。
美味しい物で満腹になって、さて食後の果物でも買おうかということになった。
当地の特産だという文旦のような黄色いもの・火龍果・葡萄なんぞを選ぶ。
全部でいくらかときいたら百三十五元…..さっきの夕食二人分より更に五割も高い!
珍しいから仕方ないのかなぁと素直にぼられて宿に帰ってしまった。
部屋にて試食。文旦もどき、美味しくない。杭州文旦の半分も味がないぞという感想で一致。
火龍果は見た目が赤くてトゲだらけなのだが、割ってみると白くてキウイのようなものだった。
一番いけたのは葡萄(日本の赤葡萄に近い)というのも何だか皮肉な気がする。

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