天気予報では雨、ホテルを出た時点で、降り出す直前のような湿気を感じる重い空。
できるだけ荷物は作りたくないので、傘を買うことなく電車に乗った。
平日の10時台だというのに、りんかい線は信じがたいほどの満員運行。
中学生用の定期券を首から提げた女の子が東京テレポートで降りていった。
今や大人が有給休暇を取るより気軽に子供が学校を休んでしまうのか?
同様に降りていく子供が数人。そのこと自体は問題でもないが、電車が全く空かないのでつらい。
今回の東京滞在の主目的は、東京国際ブックフェアの視察(?)である。
人混みに揉まれつつ国際展示場に着いたが、ブックフェアをのものは去年よりむしろ空いていた。
他の展示会が2-3件あったので、乗車人数がふくれあがっていたらしい。
受付登録をしようとして、手元の招待券が一般公開日専用のものであることに気づく。
むざむざ交通費だけ負担して見ずに帰るのも癪なので、自分に珍しく主催者スタッフに問い合わせてみた。
「本当は違うんですよ」とか言いながら業者用の登録欄つき招待券を出してくれた彼のせいではないが、最初からこれを送ってくれるはずだったのにと気分は晴れない。
業者用の招待券には登録欄があり、職業を選んで名刺を貼り付けることになっている。
その職業一覧に、ちゃんと翻訳業があるのだ。(記載は「作家・翻訳家」なのだが)
翻訳して面白そうな原書がないか探すので、大義名分は十分だと思っている。
が、去年は中国ブースが事実上なかった。
書籍の展示もなければ担当者も見あたらない、空っぽの棚と看板があるだけだったのだ。
何があったのかは分からないが、今年も同様でないことを祈りつつ入場。
今年はちゃんと?出版社がいくつか集まって、書籍の展示と商談会をしていた。
若い女性スタッフが応対してくれたのだが、向こうの人らしかったので日中ちゃんぽんで会話。
展示されていた書籍が伝統文化やら地図やら「中国の資料」といった感じのものばかりだったので、企業経営の本があるかと聞いてみたら「没有(ないよ)」。
次に目に付いた茶芸の本がなかなかよかったので値段を聞いたら「45元だから、13掛けて…」違うだろ。
ブックフェア価格が必ずしも安くないのは問題ないとして、日本円で値札を用意していない。
値段が定義されていないので、その本そのものの担当者がいないと売ることもできないのだ。
これには些か閉口したが、まあ中国なので致し方ないのだろう。
そんなわけで、今年も翻訳対象書籍の獲得という目的は達成できなかった。
とは言え、せっかく来た本の祭典なのだから、よそも見て回りたい。
非営利事業の啓蒙パンフレットから定価の書かれたグルメガイドまで、色々なものが「お持ち帰り自由」。
近年の学校用教科書を覗いて感心したりと、おまけは十分に楽しめた。
唯一ながらたまらなく厭だったのは、宗教系出版社の大音量CM。
同列にいた台湾企業を覗きたかったのだが、気持ち悪くなって退場してしまった。
ブックフェアも民間企業主催だから場所代さえ払えば出展させるのだろうが、あれはひどい。