容赦ない街

隣駅の商店街に行ってきた。
いつ開いているのかよく分からない鯛焼き屋を訪ねて。
月曜日に行っても「火曜日定休」と書かれたシャッターに阻まれる不思議な店。


幸い今日は営業していた。
先客が1人、軒先のベンチらしきものに陣取って店主と話し込んでいる。
普通に買うことはできたが、店主は先客と話し続けているので居づらく感じた。
鯛焼きは食べながら歩いてなんぼ、と気を取り直して包み紙から引き出す。
かじりつこうとした矢先、得も言われぬ危機感に身を翻した。
まあ慣れたものではあるのだが、自転車にはねられる寸前で気づいたのである。
最近マナー向上とやらで押して歩く人も増えてきたが、そういうわけで油断はできない。
よその店の営業妨害にならぬよう、通路を塞がぬよう気を遣いながら歩くのも危険だ。
八百屋に用事があったので立ち寄る前に食べきろうと思っていたのだが熱くて苦戦。
ふうふうして食べようとしたら、不意に煙を吸い込んでむせた。
歩き煙草の人が増えただけのことで、この街にしてはいたって普通の光景である。
通行人がいちいち邪魔そうに見えた。
私が彼らをそう見ているのではなく、邪魔にされてそうに感じる不思議。
車椅子に座る人もそれを押す人も小さくなって通行していた。
明るい笑い声は響くものの、誰もが容赦ない。
何度となく足を運んだ街ながら、最後まで馴染まなかったなと思った。
どこかで私自身が馴染むのを拒んでいたのかもしれない。
いいところはたくさんあるし、かなり世話にもなった。
でも余所者は余所者のままなのか。
定住しないというのは、或いはこういうことなのかもしれない。

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