それぞれの立場

有名なチャイナウォッチャーであろうフリージャーナリスト福島香織さんの講演を拝聴してきた。
実は語学留学先が一緒だったので面識がある。
とは言え私は半年弱での帰国でクラスも違っていたので彼女の記憶にはなさそうだった。


撮影や録音お断りとのことなので、つぶやきを垂れ流すのは自粛した。
内容も基本的には中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップスで公開されている記事に沿っている。
会場の画面上でのみ提示された中国各紙の一面記事は目新しく新鮮だった。
なるほど素材を集めてきて一つの筋道を描くのは記者の本職といったところか。
印象に残ったのは、やはり筋書きではなく彼女自身の職業意識。
「マスコミが活動家を後押しするような報道をしてしまうのはいけない。
取り上げられたことで活動を激化させ、結果的に命の危険を招いてしまう例がある。
(マスコミである)我々にできることは客観的な事実を伝えることだけだ。」
業務というより人間として難しい判断が要るのだろうと思わされた。
そして、活動家への取材内容をそのまま報じるかどうかについては
「たとえ活動家本人がいいと言っても、命をかけているからかまわないと言っても、
それを報じるかどうかは(取材した)こちらの責任。
後で外部から何か言われた時にそれは背負うんだよ、ともし志望者がいれば言いたい。」
自分の名において仕事をするということは、そういうことなのだと思う。


一方、前後するが、昼食は初対面の人と摂ってきた。
鳥つながりの人にはありがちなことだが、本名も知らぬまま待ち合わせ。
私の持ち歩いている鞄が特徴的なせいもあってか、つつがなく出会うことができた。
お互いの相手に対する認識がほぼ一致していたらしく、妙なところで感心する。
ごく漠然とした「世界」の「認識」の話をしているだけで1時間ほど過ぎてしまった。
既知の共通項をあまり出すことなく盛り上がれる相手とは、たいてい親しくなれる。
今回は所要の都合で時間が限られてしまったものの、またいつか話してみたいと思った。

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