一語の裏表

やっぱりペンギンは飛んでいる!!読了。
こんな軽くかわいらしい本が技術評論社から出ているとは、その時点で驚きだった。
文体にも挿し絵にも実用書や学術書のような堅さはない。


新しく目にした知識で引っかかったのは、ペンギンという名称そのものの経緯である。
・当初ペンギンと名付けられた動物はオオウミガラスであり、既に存在しない。
・中国語でペンギンを示す「企鵝」は日本でつけられた当て字だった。
このうち前者については、オオウミガラスの絶滅について詳細な記述がある。
人間の商業活動により絶滅した最初の鳥なのだそうだ。
1844年6月4日。
一方、オオウミガラスは北半球にしか存在していなかった事実は面白い。
ペンギンはごく一部を除いて南半球にしか分布していないし、類縁種でもないのだ。
収斂進化なる現象で、似たような生態の生物は似たように進化するのだとか。
後者には似たような事例が挙げればいくらでもといった感がある。
昔から漢字を介して中国と日本では言葉や表記そのものが流通しあっているのだ。
そしてこのペンギンの例では、「輸出元」の日本でその表記が残らなかった。
確かに「企鵝」をどう読んでもペンギンにはならないので無理からぬ話だとは思うが。
ある言葉の示す対象がある時に入れ替わってしまうこと。
ある言語でなくなった言葉が他言語で生き続けていたりすること。
言葉そのものがいきもの、なまものなのだと妙なところで感心した。

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