遠方より来たるは

今の家で初めての来客があった。
元同僚にして最も古い鳥仲間である。
半日があっという間だった。


2年ぶりの再会となるが、彼女自身はさほど変わりないようだった。
紛れもなく鳥仲間なのだが、鳥の話はあまりしない。
近況を聞くだけで時間が足りないほどだった。
自分が関西で安穏と暮らしていた時期にこちらで起こった災害、災難の数々。
実家が被災したり自身が体調を崩したりの中、愛鳥も亡くなったそうで心痛に余りある。
所謂ペットロスで、と彼女は抑揚のない声で話した。
多分、そう口にできるようになるまで何日も笑えない時間を過ごしたのだろう。
言葉では形容できないが、いかに塞いでいたかを窺い知ることはできた。
彼女を癒してあげられるのは、私よりこまなのかもしれない。
もの言わぬ無邪気な目で見つめた方が、下手に言葉を選ぼうとして詰まるよりずっといい。
人見知りなこまが彼女の機嫌を取ることはないが、却ってそれでよかった気がする。
今まさに気落ちしてすがってきているわけではないのだから。
底は脱したという認識があってこそ、敢えて拙宅に足を運んでくれたのだろう。
彼女はリハビリだと哀しく笑っていたが、その一助にでもなれれば光栄だ。
最寄り駅に送った後、「グッスリ眠れそうです」とメールが来た。
そうであってほしいと願う。

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