天と地の間に

夜神楽なるものを見てきた。
神楽そのものを見たのが初めてなので、色々なことが新鮮。
豊作を祈る早春の祭、寒さと共に身が引き締まる。


神楽にはお面がつきものだと思っていたが、お面は最後の舞のみ。
宮司さんともう一人が舞い手と小太鼓を交代で担っていたが、他の三人も素顔だった。
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最後の「剣舞」のみ、想像していたような面が登場。
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まともに撮れなかったのだが、中盤では釜で煮た湯を榊や笹の葉で掬い祓う場面も。
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このとき少しだけ湯のしぶきがかかった。縁起がいいような気がする。


見ていて思ったのは、神楽は芸能ではないということ。
楽しいとか美しいとか、そういった次元で鑑賞すべきものではないのだと感じた。
お祓いで始まり、参列者(見物客)が問答無用で頭を下げる。
五人の祝詞は不思議な和音だったが、音楽的な響きを味わうものではなかった。
ただただ、自然への畏敬の念を感じる。
祝詞は恐らく人間のため、聞かせて納得させるための言葉だ。
言葉を捨て、一つの旋律で舞い分ける神楽は祈りの形なのだろう。
一つ一つの動作に意味づけはあるのだろうが、観察して解釈する類のものでもない。
幸いあれ、安くあれと、それ以上は何も要らない。
全ての神楽を奉納してから、宮司さんが祭の趣旨を説明してくれた。
豊穣を祈り、自然の脅威に対して畏敬の念を示すものだと。
何ら予習も解釈もなく呆然と見ていただけで感じ取れたことは光栄に思った。

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