近所のフリーマーケットを覗いたら、すごいものを見てしまった。
この全く畳まれずくしゃくしゃと積まれた布の山、着物なのだ。
フリーマーケットに洋物も和物もあるかいと言われればそうなのかもしれないが。
扱いが扱いなせいか、お値段はどれを取っても300円。
帯やら小物やらも隣の山でやはり300円だった。
文字どおりの十把一絡げ。
紋付きの黒留袖から子供用の羽織まで、いっしょくたに積まれている。
他の客が「化繊かしら?」と問うと売り主はちらと見上げ、こともなげに「絹です」。
素人目には中古とすら分からないような美品から、汚れほつれたものまで同じ扱い。
敷居が高すぎる商売も何だが、これもまた極端で首を傾げてしまった。
量からして一般家庭の不用品といった規模ではない。
一体どこから、どういう経緯でこの着物たちはここに集まってきたのだろう。
こと正絹だったり紋付きだったりすると、背後に何があったのか気になる。
…見てはならぬものを見てしまったのだろうか。