兄妹

兄からFP相談を受けた。先般の「2000万円問題」が気になった由。
まずは収支に関係しそうな資料を一通り列挙して用意してもらった。
兄は大企業の正社員なので、まったく違う道を歩いている。
会社があれこれ世話してくれても、忙しくて構う暇がないようだ。
年金の所謂「三階部分」だけでも複数の制度が運用されている。
そのうち確定拠出年金についてだけは資料を持ってきてくれた。
それもいつ加入したのか残高がいくらかなのかも知らないという。
IDの通知書はあったので、自身のパソコンで照会してもらった。
元本保証商品100%のポートフォリオが組まれていた。
他の金融商品については分厚い説明冊子があり、当然これも未読。
リスク投資と複利運用の話をしたが、「ギャンブルはしたくない」。
確定拠出年金はそのままにしておくということになった。
まあ予想どおりではある。
ただ複利運用はそれなりに響いたようなので、積立預金の類を薦めた。
ここで大企業ならではの有利な商品が登場。
元本は業界団体が保証し、1%複利に運用益が出れば上乗せされる積立。
自営業者で言う小規模共済と近い性質だ。
固定給もあって、社会保険もあって、こういう共済もある。
社畜と自嘲する兄に、どうせなら制度を使い倒せと言っておいた。

実家にいるが母は不在なので、二人で買い物に出る。
買う物の選び方も代金の払い方もかなり違った。
見切り品や特価品は手に取るが、「ついで消費」が多い。
「こういう買い方するから無駄遣いが多いのか」と苦笑する。
吟味する暇を惜しんでいるように見えた。
必要だが実家にあると確信できない食材は「買う」。
あるはずだが場所の分からない消耗品も「買う」。
それ自体は何らおかしいことではない。
自分なら買わずに母に尋ねるが。
支払いは基本的に現金で、使えればnanacoらしい。
クレジットカードは持っているが「信用できない」。
勿体ないのでセブンカードを薦めたが、作る暇はありそうにない。
海鮮丼をご馳走してくれた後、諭吉が出払ったとATMを探していた。

それで誰の迷惑になるわけでなし、蔑む気はない。
ただ同じ親に育てられ、ここまで価値観が違うのかと感心した。
さっぱりとして気前が良く優しい性格は昔と変わっていないのだが。
考えてみれば自分はそういう性格ともほど遠いのだった。

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