半期の出版翻訳講座が終わり、修了証書をもらってきた。
ご丁寧に日中訳・中日訳それぞれの先生からの講評もある。
自己評価では出てこないような強みの指摘もあり、実にありがたい。
日中訳については中国語での講評だった。
・原文を背後まで読み込んでいる
・用語の統一がとれている
・文を読みやすい長さに調節できている
このうち、用語の統一については甘いと自覚があるので意外だった。
今後の課題としては
・文や段落のつながりに留意する
・想定される対象読者に合わせた表現を磨く
後者は中国語(作文)力の課題だが、前者は国語力や語学力の問題ではない。
日本語原文の構成に引きずられず、新たに中国語版を作成せよという課題である。
講義でも何度か言及のあった、編集の問題だ。
日本語の枠組みで中国語を書いても作文の域を出ない。
枠組みを作り直せとだけ言われても当惑するが、答えは中日訳のほうにもあった。
・段落構成を保持する必要はない。意味内容の区切りに合わせてあればよい。
・文の前後順も同様。文書全体の内容、目的に照らして妥当であることを優先する。
中日訳課題の練習で、このコツも次第に掴めてきた。
「実務だと、この辺の自由度はぐっと削られるんですよね」と先生も苦笑。
しかし読者には関係のないこと。
訳文を出すからには、読者に読みやすく伝わりやすいものが前提だ。
中日訳の講評は相当カラいのではないかと心配だった。
なまじ最初の自己紹介で翻訳業をしていると言ってしまったばかりに。
雑だったか、うるさかったか、驕慢ではなかったかと後から心配になっていた。
しかし評価は「繊細かつ大胆なチャレンジが印象的」とのこと。
改めて頭が下がった。
課題点はさらに不思議な「考えすぎないように。時には頭を単純思考に」。
ひねりすぎないよう、素直に文そのものと向き合えということか。
難解より明快に、唸らせるより頷かせるように。
もっと翻訳そのものを愉しんでもいいということかもしれない。