国際取引

久々に国際電話がかかってきた。
相手の言っていることは聞き取れるのだが舌がついて行かない。
メールで何とかするかという話にだけ持ち込めて幸いだった。


「今から読み上げるアドレスに空メール送ってね」と言われても無理な相談である。
まずは聞き取れたとおりに打ち込んで送ってみたが、案の定なしのつぶて。
やれやれ諦めてくれたかと一息ついていたら、数分後その相手から中国語メールが来た。
「略歴にあったアドレスに送ってみたけど合ってる?」…何をか言わんや。


品質重視と称する割に提示料金が芳しくない。
3往復ほど中国語でやりとりすると、差出人が「もう帰る」と去ってしまった。
数分後にその同僚らしき人物から今度は英語のメール。
最初の提示料金とこちらの希望料金のちょうど中間を指してきた。
新規取引先だからとか信頼を寄せてここまでだとか、さんざんごねられている。
一度はなびきかけたが、円高の折ここで妥協するわけにはいかない。
「ありがとう、でもやだ」と返すと、意外にも折れた。
納期が迫っているので別の翻訳者を探す余裕がなかったらしい。
とは言え明日ではなく明後日なのだが、まあそこは仕事の流儀なのだろう。
法外な料金をふっかけたわけではないものの、最終的に言い値が通ったのは珍しい。
少しは交渉もできるようになったのか、などとうぬぼれては危ないのか。

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