ゲストのいない「お誕生会」

日光のペンションに行ってきた。
ダンナと二人だけの「お誕生会」。
ゲストもホストもない。二人とも主賓。
というのも、誕生日が四日しか違わないのだ。
日光駅からペンションまで3km強の道を歩いてみることにした。
私は兼業当時3~4kmの通勤路を歩いていたので平気だったが、
客先まで徒歩5分のダンナは荷物を背負っていたこともあり途中で少し休憩。
車の渋滞さえなければ山なので空気がいい。
田母沢川の流れが目の保養にもなり、思わぬ収穫だった。
瀞の色を見て、これが日本語で言う水色なのかと感傷にふけってみたり。
乗ろうかどうか迷っていたバスに追い越され、その黒い排気に辟易してみたり。
出先で散歩してみるのも一興だと感じた。
チェックインから夕食まで時間に余裕があったので、24時間やっているという内湯に浸かる。
天然ならぬミネラル温泉と表記されていたが、消毒くさくないだけでも御の字。
見知らぬ人と入るにはやや窮屈かもしれない広さだったが、
貸切制にしているとのことで脱衣所の鍵をかけた。
全身を伸ばしてゆったり入浴するだけでも本当に気持ちがいい。
そしてお目当てはコース料理(の後のデザート)。
ペンションのせいかホテルやレストランのような緊張感なく料理がいただけた。
……周囲の客がカジュアルな格好だったせいもあるだろうか。
肉料理が出ると、「デザートはあちらでお申し付けください」との案内が。
色々なホールケーキの並ぶショーケースでは、小学生ぐらいの息子さんが待っていた。
「コチラ、ケーキトナッテオリマス。オコノミノモノヲ、3種類グライ、コチラノホウカラ、オ選ビクダサイ」
緊張しているのか不慣れなのかぎこちない声のかけ方だったが、目がしっかりこちらを見ている。
失礼にならないよう気をつけながら3種類ずつ選び、一礼して席に戻った。
かわいいね、ここの息子さんなのかな、などと話していると……
それまでシャンソンだった店内音楽が「ハッピーバースデー」に。
奥さんが「お誕生日おめでとうございます」とロウソクの立ったケーキを運んできた。
特典なのか、その場でポラロイド写真も撮ってもらう。
ささやかながら、とボールペンまでもらった。
心遣いにほっとする、というのはこういうことだろうか。
食後には一休みして貸切露天風呂へ。
標高があるのか外気はだいぶ冷えていたが、却ってお湯が気持ちよかった。
いい景色を見て、おいしいものをおなかいっぱい食べて、お風呂でゆっくり。極楽極楽。

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