なんたる皮肉

副業の方が元データ待ちで手空きだったところに中文和訳校正の打診。
断るのも面倒だ、ぐらいの気持ちで引き受けた。
分野は経済。ある会社の株主向け四半期報なので、よく出る単語や言い回しは頭にある。
原文を印刷している間に訳文を一瞥したところ、早速おかしな箇所を発見。
たいてい序盤で間違いの見つかる訳文は、全体的に品質が悪い。
「辞書は引きました」と言いたげなぐらい、経済用語そのものには問題がない。
ただ、文書の用途と言い回しが合っていない箇所や、純粋に日本語としておかしい箇所が多かった。
刷り上がった原文と比較してみると、固有名詞に間違いを発見。
単語区切りを間違えたのかもしれない。
「~建設会社との契約」が、「~会社と建設する契約」になっていた。
直感的におかしいと思い百度で検索してみたところ、図星だった。
ちょっと検索するだけで分かるところなのに、経験不足なのか不注意なのか。
先日トライアルで不合格にした訳文の方がよほどよくできていた。
別会社の案件だったのでどうすることもできないが、とても皮肉に感じる。
優秀なのに惜しいところで登録翻訳者になれなかった人と、雑なのになれてしまった人。
あるいは自身も後者なのかもしれないが、どうも後味が悪い仕事だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です