PROJECT Tokyo 2010第四講 翻訳は身体に悪い

本来の演題は「翻訳者のためのオフィス環境アセスメントと健康アドバイス 」だった。
投影されていたスライドが英語版で講義は日本語という特殊な進行。
講師のユウノ・ディニーさんは「踊る翻訳者」で、どう見ても運動不足ではなさそうだが、RSI(反復性過労障害)の前歴があるそうだ。


翻訳業は動かない、ストレスが貯まる、(物理的には)単調作業の連続。
肥満…やけ食い?→生活習慣病、DVT(血栓症)、腰痛、肩こり→頸椎ヘルニア、RSIの恐れが。
RSIは上半身ほぼ全域に及ぶ。翻訳作業でテニス肘(講師の実体験)になることも。
主な症状としては腫れ、むくみ、可動性低下など。
疲れが一晩で抜けない、手が冷える、荷物を避けたくなる、手が震える、痛いといった前兆がある。
RSIに陥りやすいリスク要因は、病気や怪我の経歴、まじめすぎる性格、作業の重複(趣味も含む)、姿勢や手の角度などの固定、、作業環境(道具の配置)、ストレス、休憩不足など。
RSIの予防について、労働環境を整える欧州指令はあるが、日本の法律は特にない模様。
尤もその欧州指令とて、雇用者にかかる義務である。
フリーランス翻訳者は自分が雇用者なので、自己防衛はどちらから言っても当然か。


「人間は事務作業をするイキモノとして設計されていないので、エルゴノミックな事務用品は欺瞞」
RSIの予防手段には、作業環境(机、椅子) 入力デバイス 就業/生活習慣 の改善がある。
まず、自分の体格に合った椅子の入手が無理なら、椅子の調節を。
座面高、背もたれの角度、モニターとの距離(キャスターで動かしやすいか)が調節要素。
腕の伸ばしすぎ、モニターと資料の配置にも注意(ねじれ姿勢による負荷)。
モニター(複数ある場合は主に使う方)は体に正対させ、ねじれ姿勢を予防すること。
モニターの高さはきちんと座った時の目の高さより少し下。
肘は直角や鋭角にならないように。
ノートPCだと、モニターとキーボードの位置が「あちらを立てればこちらが立たず」なので要注意。
自宅環境の場合はノートPCでも外付けキーボードをつなぐべきか?
背もたれはほぼ必須で、おおむね肩甲骨の高さ。
腕などの疲労を予防するため、すぐ使うものは近くに。
姿勢は他人に見てもらうのが一番。
書き物とタイピングでは適した高さが違うので、机または椅子の調整を。
足が床に着かない場合は台を利用。
机と椅子はセットで具合を見て買うのが吉。
アームレストは一長一短、環境による。(椅子の移動を妨げないのが前提)
マウスでの作業はキーボードよりも単調なので、ショートカットキーなどで適宜回避を。
ただし「同じ作業、同じ姿勢の繰り返し」は禁物なので、取り混ぜるバランスが肝。
奥向きに傾斜したキーボードトレイがあると、手首の負荷軽減によい。


就業習慣、生活習慣の改善も重要。
特に強調されていたのは休憩の重要性。
しっかりと席を離れて、めりはりよく休憩すること。
そのためのリマインダーソフトなどもある。
もし休憩中に電話が鳴っても取らないぐらいでちょうどよい。
そこで休めない性分もRSIのリスク要因なのだから。

“PROJECT Tokyo 2010第四講 翻訳は身体に悪い” への2件の返信

  1. こんばんは。奥に向かって傾斜しているキーボードトレイが良いのは初耳でした。うちはパートナーが身体の専門家で、定期的にメンテをしてもらっているのですが、長丁場の案件になると体のあちこちが悲鳴をあげます。休憩の重要性、改めて認識しました。

  2. キーボードトレイの件は私も初耳でした。休憩は休憩としてしっかり、できればストレッチもね、とのことです。

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