歪な鏡

外見はむしろ似ても似つかないのに、ふとした瞬間「同じだ」と感じる相手がいる。
共感や同情などと比べものにならない、得も言われぬ感覚。


見聞きしたことが違っていても同じ結論を得ていることがある。
何ら経緯を説明していないのに、言いたいことが伝わっていることもある。
心の内を見透かされているようでありながら、見てはいないと言われたりする。
それが全て本当だとしたら、さながら鏡のような存在だ。
あるいは私が一方的にそう感じているだけかもしれないが、きっとそうではない。
言いたかったこと、伝えたかったことが、求める前に返ってくる。
相手からの返事がではなく、こちらが発するつもりだった漠然とした何かが降り注いでくる。
自分にその根源があったとは思えないほど優しい慈雨のように。
だから、暗い顔は見せたくない。後ろ向きな言葉も吐きたくない。
いずれ浄化されて戻ってくるのだとしても、その途中で映りこむのは切ないから。
強がりかもしれないが、あるいはそれもお互い様かもしれない。
まっすぐに、ありのままに、できるだけ素敵な自分を映せたらと思う。

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