必要十分?

約4年ぶりにデジタルパーマをかけてきた。
新規開拓と言うと大げさだが、当地に来て初めてのパーマ屋である。
ネットで調べて訪れた店は、美容室というよりパーマ屋だった。
ほぼ純粋に技術を売っているだけの感じが。


大阪で通っていた美容室ではデジタルパーマの扱いがなく、2液式パーマをかけていた。
特にそれで不満があったわけではないが、やはりこちらのほうがくっきり型がつく。
料金体系や写真の雰囲気からこれという店を絞り込み予約したわけだが、軽く驚いた。
「予約の方ですか?」しか聞かれない。
名前どころか、予約内容の確認も最後までされなかった。
席に通されて質問されたのは長さとかかり具合の希望のみ。
当然と言うべきかは分からないが、他の会話も一切なかった。
40代と思しき店主はひたすら熱心に、楽しそうに、手際よく施術を進めていく。
経験からの反省で今日はコンタクトにしていたので、鏡越しに作業を見るのも面白かった。
見知らぬ道具に無駄のない動き。
(近視のせいで見えていなかっただけかもしれないが)
プロの仕事を見るということ自体が新鮮だった。
よく分からないラテンポップスが流れる静かな店内。
職人肌なのかしらと思いつつ、口を開くことなく、ただなすがままにされていた。
数十分後、常連が店主に話しかけたことで静寂が崩れる。
返事は一応するのかといった感じで遠くに聞いていた。惜しい。
退店時にはポイントカードを渡されたが、無記名だった。
予約以外の用途に個人情報を使わないということなのだろうか。
無論そこに説明はない。


うるさくあれこれ聞かれるよりは気楽だし、髪型そのものにも文句はない。
よくぞあれだけの質問でここまで仕上げてくれましたというところだ。
希望したとおりのサービスは得られたはずなのだが、何かが足りない気がしている。
自分は髪型を整える以外に何を望んでいたのだろう。
その辺りの「欠けた何か」が、こちらから提供する仕事に影を落としていないといいが。

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