書を措いて街を出てみた

信州の知人宅へ1週間ほどお邪魔することになった。
野菜農家の暮らしを体験させてもらうつもりでいる。
例年4月は自分の仕事が少ないので、猫の手を貸しましょうかという話だった。
手持ちを一通り出し切って、いざ高原へ。


初日は午後現地着ということもあり、ほぼ純粋な移動日に。
長靴を購入したぐらいで、特に作業らしいことは何もしなかった。
断れる案件は断りつつも、念のため愛機とPocket Wi-Fiは持参している。
滞在先はインターネット接続の固定回線を引いていないのだ。
それでも事足りる豊かさは些か羨ましいものの、接続回線はあったほうが安心できる。
断続的に雨の予報で、畑に出られる時間も未知数だが、長丁場なのだ。
校正戻りが来た場合には対応せざるを得ない。
よほどのことでもない限り、新規で請けるつもりは流石にないが。
ちょうど高遠城址の桜が見頃か少し早いかというところだそうなので、夜桜見物へ。
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山城跡から見下ろす雲海のような桜。耳にはカジカ蛙の合唱。
下から照らされる花を上から見る贅沢にしばし浸った。
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見上げても桜。顔の高さにまで下がる、たわわな枝。
固有種だそうで、染井吉野より青味の少ない柔らかな色合いの花だった。
古いものでは廃藩置県の頃に植えられたのだという。
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ここまでの間に何があったのか、花を付けながら朽ちている樹。
何本か養生を施されたものもあったが、痛々しいものが目に付いた。
もっと幸せな、人間と自然の交点を見たいものだ。

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