帰れども

毎年お盆や夏休みの帰省と見聞きするたび悲しくなる。
戦争災害や大規模事故のための嘆きではないので、余りにも小さいが。
もう十年、兄を見ていない。
最後いつだったかを失念していて、また非礼を責められるかもしれないが、いっそ叱ってほしい。
深刻な事情あっての生き別れでも何でもなく、彼は健在である(と母から聞いている)。
私が彼を傷つけたから、姿を見せようとしてくれないだけのことだ。
きっかけは、重要な連絡の遅れだった。
思うところあって慶事を伝えられずにいたのだが、諸事が重なり言わずじまいになったのだ。
あの時きちんと素直に謝れば、こうはなっていなかった。
そんなことを弁解するつもりも正当化できる論拠もありはしないが。
自分に思いつく限り事態をどうにかしようと、何度か手紙はしたためた。
が、内容が歪だったり宛名に誤字があったり、全くの逆効果だったようだ。
宛名に誤字など、客観的にもあり得ない失礼さなので致し方ない。
悪いのは一方的に私だ。
分かっている。
しかし謝ることすら許されない状態で、もう十年が過ぎた。
この上どうしたらよいのだろう。

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