勤務先で利用しているバイク便業者が発送伝票の束を持ってきた。
専用受付番号や発信元住所が印字してあるだけでも重宝する。
そして営業担当とおぼしき彼がその束と一緒に手渡したものは。
赤・青・黄色の箱ティッシュだった。
箱は小ぶりで、正方形の一辺がよくある箱ティッシュの短辺ぐらい。
厚みはまあ一緒か。
微妙な笑みを禁じえないのは、その体裁だった。
三つ重ねて輪ゴムを十字にかけてある。
きっと販促企画は1個ずつの配布を期待して作っただろうに、
去年の箱よりだいぶ小さいのを営業現場は気にしていたのだろう。
「お心遣いありがとうございます」が口をついて出た。
現場は頑張っているのだろう、それぞれに。
もう一歩、だったのかな?
朝ディスポーザーの配水管が詰まったので会社を休む羽目に。
流し台に故障時の連絡先と書いてある電話番号はなかなかつながらず、
つながったのはいいが漏電点検をさせられる。
「だから配水管の詰まりだって言ってるぢゃないですか」
「そういうことはマンションの管理会社に……」
それを早く言ってよ。
管理会社と何往復か電話したあと、
何故か修理会社ではなくメーカーから人を派遣してくれることに。
待っている間かなり手持ち無沙汰なのでメールチェックなぞしてみると、
Ameliaの事務局から「請求処理をするように」とのお達しが。
実は出版翻訳企画の持ち込みを仲介してくれていたのだ。
企画としては半年以上も前に採用されていたのだが、
版権の確認やら翻訳者の選定やらに出版社が忙殺されていたらしい。
そして、翻訳書が出したくて応募していたのだが、翻訳者選考には漏れた。
まぁ出版物なんて雑誌の一部記事ぐらいしか経験がないし、専門分野でもないので致し方ない。
ただ、今更「それじゃ企画料だけでも」とは言い出しにくいのが引っかかっていたのだ。
事務局が指示を出してくれたので心置きなく請求書を作成できた。
めげずに他の本も発掘して持ち込むべきかは色々と悩みどころである。
専門分野のなさがこんなところでも痛いとは、とほほ。
いつの日記にしたらよいやら
ここのところ休みなく翻訳受注があり、ばたばたしていた。
昨日に至っては疲れて夜間作業ができなかったのだ。
会社仕事でも翻訳仕事でも、だいたい「疲れ」は頭や目に来る。
ところが今回は、頭も目も休んでいた訳でもないが、手指が疲れた。
左手の薬指と小指の間がつったように痛くなり、薬指が麻痺してきたのだ。
まぁ手元の仕事は土日に片付ければよいだろうと自分に言い聞かせ、休憩することに。
仕事にありつけるのは本当にありがたい。それは今でも変わらない。
ただ、本当に毎日となると兼業そのものが一種の苦痛になるのだと実感した。
今回は左手の一部だけだが、動かなくなってはどちらの仕事もできない。
一日も休みがない時期などそうそう続くものではないだろうが、
そろそろ仕事量の調整も意識しはじめるべきなのだろうか。
好運
自宅マンションの防火設備点検に備え、勤務先を休んだ。
この日の午前中は在宅のこと、と指示されており外出はできない。
せめて1時間単位で指定してくれればいいものを、
3時間も拘束されるなんて宅配便より厳しい。
暇だからといって朝風呂に漬かる自由もなく無聊にしていると、
携帯電話が鳴った。メール着信とあるので勤務先からではないようだ。
見ると「翻訳依頼」とある。
パソコン用アドレスに依頼を送ったので確認してほしいとのこと。
ありがたいことこの上ない。
早速パソコンで確認してみると、Word原稿だった。
テキスト変換の必要がないのでA4で3頁も長くは感じない。
納期は明日いっぱいとあるが、今日中にはできそうだ。
何しろ家を出られない。
設備点検そのものは昼前の微妙な間合いで始まった。
室内の火災報知器をざっと見た後、ベランダの避難梯子を点検。
梯子が短いと指摘された。
勿論、売主にも報告するとのこと。
確認書類に認印を押して、対応完了。せいぜい10分ぐらいで済んだ。
それからひたすら翻訳作業。
原稿を受け取ってから訳文の体裁を整えるまで約4時間。
これでも報酬は勤務先の給料を日割りしたものといい勝負である。
尤も有給を使っていることを考えれば二重取りなのだが。
思い出し笑い
内容はカテゴリ「異郷日記」参照
このところ日記に書けるようなことがない。
会社でのできごとは企業秘密に触るようなことばかり。
翻訳仕事はというと日中に「即日で」と言われ断ったり。
そこで窮余の策とまで言わないが、古い日記を発掘。
上海に語学留学していたときの生存証明である。
当時は日本ですらインターネットと言えばダイヤルアップで、
日常の通信手段として電子メールを使う人は回りにいなかった。
が、心配なので毎日連絡するようにと過保護気味の母に言われ
国際電話より安上がりなので無理やりそのへんのことを教え込んだ。
どうせなら日記もつけてやろうかと一念発起、
私に珍しくほぼ毎日の記録が残せたのは…..非日常のせいだと思う。
HTMLタグを抜いて整形しなおすついでに目を通したが、
我ながら笑える半年弱の日々だった。
間違いではないが正しくない
ありがたいことに昨日とは別の会社から引き合いがあった。
電話で担当者が申し訳なさそうに
「文字が小さいので文字数を数えるとちょっと多めに…..」
別に文字数は(引き合い時点で)気にしない、と答えると
「……じゃPDFでお送りします」とのことで商談成立。
いざそのPDFを開いてみると、元原稿は雑誌記事らしかった。
割とよく見る段組なので、特に細かいという感じはない。
どうして彼女は字の小ささを気にしていたのだろう、という程度だ。
問題は字の小ささではなく潰れっぷりであった。
見るからにFAXで潰れた漢字たちがのたうちまわっている。
また翻訳よりも原文解読に手間隙のかかるパターンだ。
黒すぎたり白すぎたりする字ばかりで先が思いやられる。
が。「ChinaScan2」は思っていたより優秀だった。
肉眼では何だか分からない塊ですら、字になり文になるのだ。
前後の文字が読めれば「困ったちゃん」もなんとか判る。
識字率90%という謳い文句は誇大表現ではなかったらしい。
結局それでも読めなかった3箇所は、注をつけて担当者にお願いした。
3箇所で済んだだけいい、と心から思った次第。
仕事始め
そもそも、飛行機が離陸した時点でのんびりしている。
ややお恥ずかしいながら、新年で初の受注。
翻訳稼業は小正月を過ぎてやっと始動にこぎつけた。
短い手紙文で納期は明朝。
肩慣らしのような気もするが、手紙文は侮れない。
日本語(のネイティブ)には通常ない表現が結構あるのだ。
英訳はできるけど和訳はちょっと、という文が複数ある。
なくても意味は通じるのだが、訳抜けと思われるのも問題になる。
直訳だったら学生でもできるのだから、ここが頭の使いどころか。
味なお年玉
たまに行く店で食材の買いだめをしたら、くじをもらった。
当たりが出たら商店街主催の現金つかみ取りに参加できるという。
開けてみると「アタリ」の文字。幸先がいい。
早速その足で商店街の催事場へ。
つかみ取り会場には抽選機(いわゆるガラガラ)の音が響いていた。
受付の人にくじを渡し、聞かれるままに利用店名を答える。
券が1枚なので挑戦できるのも1回である。
出た玉は「小吉」だった。
現金の満たされた箱は4つ。
大吉から末吉まであり、入っている硬貨の種類が違う。
「小吉」の箱には1円玉と5円玉だけが見えた。
つかみすぎて手が出せないと恥ずかしいので、
できるだけ5円玉が多くなるように選別しているつもりで一掴み。
係の人が差し出すつり銭トレイに置くと、番号札を渡された。
「あちらで換金をお待ちください」……換金?
トレイの行く先を目で追うと、現金計数機が控えていた。
待つこと十数秒、番号札と引き換えにレシートのようなものをもらう。
出口にいた人が「167円ですね」とその紙を回収した。
「ではこちらで。200円が入っておりますので」
もらったポチ袋には「お年玉」と商店街の名前があった。
流石に1円玉と5円玉をそのまま渡しはしないのか、と感心。
さらにキリのいい100円単位に切り上げたことにも感心。
現金つかみ取りの常なのかもしれないが、かなり気分がよかった。
そして灯は消えた
先週、近所の弁当屋に初めて行ってみた。
夕飯時だというのに価格表は「品切れ」だらけ。
どうしたのだろうと思っていたら、貼り紙を見つけた。
入居している建物が取り壊しになるため翌日閉店だという。
貼り紙には移転先も仮店舗も記されていない。
案内されている近隣店舗は一駅も離れた隣町だった。
ともあれ弁当を注文すると、
「5分ほどいただきますがよろしいでしょうか」とうまい日本語が返ってきた。
中華圏の日本語旅行代理店で聞くのより数段きれいな日本語だ。
澄んだ声の彼女が厨房に注文を通す。
奥からは揚げ物の音だけが聞こえてきた。
数分後。
「大変お待たせいたしました」と厨房の人が出てきた。
レジ係の彼女には劣るが、やはりきれいな日本語だった。
……名札にあるのは中華圏の人名である。
前から店長一人、アルバイト一人だったそうだ。
湯気の立つできたての弁当を受け取り、料金を渡す。
チェーン店だからなのだろう、二人で千円もかからなかった。
「ありがとうございました」の声に送られて店を出る。
そこに「またお越しください」との続きはない。
なんだか自分が搾取しているような気分になった。
何か悪いことをしてしまったような切なさ。
少なくとも今の自分にはどうすることもできないのだが、このやるせなさはどう解決したものだろう。
この訳文は、いい味を出していると思う。
以下、無料「翻訳」サイトによるその「英訳」
#括弧内は翻訳機能の提供元
Excite(BizLingo)
I think that this translation has put out a good taste.
@nifty/OCN/Infoseek/Livedoor(Amikai)
I think that this translation is taking out the good taste.
Yahoo!(CROSSLANGUAGE)
I think that this translated sentence gives good taste.
フレッシュアイ(The翻訳)
I think that this translation is taking out the good taste.
訳してねっと!
This translation thinks about I put out good taste.
Google/WorldLingo
As for this translation, you think good taste is put out.
思うところあって、やや意地悪な日本語文を英訳させてみた。
「この訳文は、いい味を出していると思う。」
隠れている主語(私)を無料サービスの範疇で見つけられるか?
「思う」の主語「私」を訳出したところは意外にも4例あった。
日本発でないサイトの仕事はと言うと、
偶然にも?Google言語ツールβ版とWorldLingoの訳文が完全一致。
ここでは「思う」の主語が「あなた」になっている。
何か得も言われぬ味を感じる。
光っているのは「訳してねっと!」の結果だ。
何でそうなる。
ご丁寧にも主語が逆転している。
敢えてその「訳してねっと!」作品を他サイトで反訳してみる。
This translation thinks about I put out good taste.
Excite(BizLingo)
この翻訳はハイセンスに置かれたIについて考えます。
@nifty/OCN/Infoseek/Livedoor(Amikai)
この翻訳は約Iつの消されたよい味を思います。
Yahoo!(CROSSLANGUAGE)
この翻訳は、あたりを、私が良い味覚を出したと思います。
フレッシュアイ(The翻訳)
この翻訳はIつの消されたよい味に関して考えます。
Google/WorldLingo
約私がよい好みを消すことをこの翻訳は考える。
そしてトリに「訳してねっと!」
この翻訳はその辺りで私は良い味を消すと考えます。
……こっちでは主語の逆転がない模様。
まぁ英文にはIって入ってるからなぁ。
そして訳文はご覧のとおり揺れに揺れている。
機械翻訳の出力をそのまま機械翻訳にかけるから
ここまで元とかけ離れるという事情はある。
それにしても、流石にまだ無料には負けないで済んでいるようだ。