勤務先の応接室にて。
顧客データの取り扱いには神経を使うね、などと事業環境の話をしていると。
取引先「特に御社、アルバイトさんとか多いでしょ」
……言えない。私もその一人ですなんて。
助教授「僕だってアルバイトですよ」
一同「それは違う」
さ、寒い。立つ瀬ない。
H字路
歩いて通勤しているせいか気になることがある。
T字路って実は進行方向が青信号の時より赤信号のほうが安全に渡れてしまったりしないか。
殊に勤務先のすぐそばの交差点(だいたいH字型)の場合、
南北方向の信号機は同期して動いているので、それらが赤であれば東西方向に車はいない。
赤になって最初の数秒は曲がってくるかもしれないが、せいぜいその程度である。
で、何を言いたいのかというと。
矢印方向に渡ろうとする場合、南北方向の信号が青だと左折車が割り込んでくる。
こっちのほうがよほど危険に感じるのはおかしいだろうか?
参考までに、向かって右側は幹線道路である。
向かって左側の道より明らかに流れが速い。
国際化四考
●その一、勤務先のビルにて
お手洗いに席を立ち、ビル共用部へ向かう。
すると前からやって来た白人女性2人。
全く会話が聞き取れない。英語ではなさそうだ。
と、向かう先はお手洗いではないか。
あいにく個室は4箇所とも使用中。
「おぅまいがっ」
2人のどちらかから、ひらがなっぽい呟きが聞こえた。
席に戻り、はす向かいの人に報告。
私「絶対うちの人じゃないと思うんですけど」
相手「迷い込む場所でもないですよね、ここ」
かといって来る者ほぼ拒まずのフロアではある。
以前よそのフロアでエレベータを降りてしまったところ、
エレベータホールと廊下の間にセキュリティ装置があった。
●その二、中華っぽいもの屋にて
メニュー表を見ると、どうも定番以外の中国語があやしい。
「昼飯」が「昼飯」なのはともかくとして、「トマト丸ごとラーメン」は「赤玉麺」ぢゃないと思う。
せめて「赤」を「紅」って書いてくれ。
#「昼飯」は「午餐」が正解のはず
●その三、某スーパーにて(一)
細身の若い女性2人組。
片方は中国語で話しかけてくるのに、相方は日本語で返事している。
中国語「これは私が買うから」と私の後ろへ並びかける。
日本語「イイノ、イッショ」彼女は私の前で会計待ち。
中「払うの別々じゃん」
日「イイカラ、並ブカラ」
なんて日本語な日本語だ、と感心した。
いいから(よこせ)(さもないと)並ぶ(ことになる)から。
ざっと三つの要素を省いている。中国語ネイティブらしくない。
発音こそカタカナだが、立派なものだ。
●その三、某スーパーにて(二)
私の2人前にいた人も、どうやら日本人ではなかったらしい。
見た目ではわからなかったが、会計後お店の人に駆け寄ってきた。
店員「どうしました?レシート?」
男性客「すてき、すてっく」
店員「ステック?…..スティック?」
その店員さんがこれかい、というふうに割り箸を見せると男性客はニヤリとして受け取っていた。
言われてみれば箸はチョップスティックとかいうらしいがよく気づいたものだ、この人。
白人さんなだけで部外者と信じ込む私なんかよりよっぽど国際化できていると見た。
ラウンジデビュー
ラウンジと言っても、夜のお仕事ではない。
うちの地下にビジネスラウンジなる部屋があるのだ。
仕事机が数台と、打ち合わせ机が数台。パソコンが2台とコピー複合機が1台。
ちょっとした事務所である。
自宅部分が閉め切っていたせいか暑いので、空調の効いている共用施設に一時避難した次第。
パソコンと紙資料を持参して、入り口側の卓を占拠した。
意外に人の出入りがあり、いまいち落ち着かない。
夫婦らしき二人連れがメールチェックうんぬんの話をしている。
間仕切りの向こうでは誰かがポリ袋をがさがさ探っている。
静かさでは誰もいない自宅のほうがましなようだ。
平日の晩なのでこんな感じなのだろうか。
退室しようと辺りを見ると、受験生らしき若い子がいた。
場所を変えるだけでも、勉強にはいいのかもしれない。
久々の受注
日中情勢のためか、気まぐれな旅行のせいか
ここしばらく翻訳仕事がなかった。
行く末を案じ始めていたところに携帯メールが。
一番ごひいきにしてくれている会社の担当者からだ。
今年に入って私の都合で断ってばかりだったので心証を悪くしているかもと気にしてはいた相手である。
たいした量ではないし、納期も逼迫していない。
この条件なら大丈夫、と携帯から返信したところ、PC宛にさっそく原稿を送ってくれた。
その文面が泣かせる。
「ぜひお願いしたいなといつも考えています。
けれど、スケジュール上の問題で、なかなか適当な案件がなかったのです。」
ひ~っ、ごめんなさいごめんなさいっ!
引用元メールの差出人は中国語ネイティブの方である。
#と断らなければ誰も気づくまい、自然な日本語。
複数の意味で感動した。
入館証
勤務先の入館証には顔写真が入っているが、普段は意味を成していない。
ビルの守衛が顔と入館証を見比べることなどないからだ。
フロアに入るのは電子開錠なので、やはり写真はどうでもいい。
それが今日は役に立ってしまった。
徒歩15分ほど離れた本社ビルへ資料を届ける用事ができたのだ。
本社ビルでは受付と守衛の皆さんに顔と入館証を見られる。
入館証をもっていないと、その場で手続きが必要になるらしい。
それはいいのだが。
「おかえりなさい」事務的、いや機械的に迎える声。
訓練したのかというほど揃っている。
社の従業員とはいえよそのビルから来た私には「ただいま」はおかしい。
とりあえず「おつかれさまです」とだけ返事をしておく。
建国暇日花市
部屋で一休みしているダンナを置いて、ひとり建国南路へ。
そこには土日にしか開催されない花市があるのだ。
高架式の道路の下が500mほど市場になっている。
入口の商品はだいたい道の両側に寄せられているが、進んでいくと中央分離帯のあたりにも物が並ぶ。
意外にも若い買い物客が多く、移動にも一苦労だった。
そんななか、妙な物件を探して歩き回る。
まず見つけたのがこれ。
縁起物っぽい飾りのようだが、なんだかよくわからない丸い物がくるくる回っている。
写真を撮っているだけで視線が気になり触る勇気はなかったが、
石のようなものが噴水に浮いて回っているようだ。
妥当かどうか判らないが、「金は天下の回り物」?
台湾らしいな、と思ったのは「金のなる木」。
装飾でキンキラキンだ。
錆びた銅貨を無理やり通している日本のそれとはだいぶ違う。こちらも派手だ。
幸運=金運=キンキラキン?
植物そのものが「らしい」と言えばこちら。
白からオレンジまであるが、全部ブーゲンビリア。南の島らしい。
でも鉢植えを上から見るのは微妙な感覚。これって温室で高い所に置くものかと思っていたので。
日本っぽい?ものもしっかりある。
ハバネロがあったり、マメデルモンがあったり。
でも集まっている客層は日本のよりオトナ?
これは流行か文化か
地下鉄を乗り継ぎ、念願の「誠品書店」へ。
ビル丸ごと書店だという前情報だったが、上層階はどうも違うらしい。
2階が主で、1階と地下は文具やCDを扱っていた。
まずは1階の文具(と雑貨)売り場。
間違って渋谷の東急にでも入ったかのような風景。
こじゃれた雑貨がひしめいているが、どれも高い。
ダンナ「これってほとんど日本じゃん」
全くそのとおり、と思ってしまった。
iPodなんかもあるが、値段も一緒。
まぁ高いものは高いってことでしょ、と2階へ。
手始めに何が流行っているか見ようとして雑誌売り場を覗いてみると。
……。
日本の雑誌ばかりが目に付く。特に「洋書」扱いでもなさそうだ。
それどころか、普通に平積みされている。
翻訳の余地どころではない。
ファッションしかり、コンピュータしかり。
中国語で出されている雑誌のほうが明らかに少なく、ジャンルも限られている。
株式投資関連と、携帯電話ガイドぐらいだ。
ダンナ「普通に売ってるけど、みんな読めるのかな」
私「…..絵があるから大丈夫なんでない?」
ダンナ「でもLinuxとか」
私「コードとか英語みたいなもんだし」
半笑い。明らかに自信なし。
幸い雑誌以外の棚は中国語の本がほとんどだった。
でもよく見ると著者名が横文字だったりする。
挙句、オレンジページ別冊のような写真だらけの料理本はやはり日本の本が多く並んでいた。
中文和訳として余り明るい前途が見えない。
ともあれ厳選して5冊ほど購入。
詳しい内容は秘密。
流通してません
託送荷物がないので、入管も税関もほいほいと通過。
空港のカウンターはレートがよくないらしいので当座の現金はキャッシングを利用することに。
ATMの周りは無人だったので、安心して引き出せた。
無論ダンナに見張ってもらってはいたが。
宿へ向かうため、台北市内方面へのバスを探す。
4社ぐらいの切符売場が一箇所に集まっていて便利。
下調べで決めていた会社の窓口で宿の名前を言うと
「では100元です」
「2枚で」「では200元です」
ここまではよかった。
去年の旅行で余っていた1000元札を出すと、
「……この札、だめ。銀行で換えて」
?!
「今の札にこの柄は入ってません」
手元では蒋介石が微妙に微笑んでいる。
「え、じゃあ、こっちでいいですか?」
引き出したばかりのピン札を出すと、微妙な笑みで受け取ってもらえた。
「そっちの札は旧版なんだよ」
お釣りを出しながらお兄さんが教えてくれた。
……去年は使えてたのに、使えないなんて不思議。
宿に着いてからフロントの人に聞いてみる。
「この札って使えないんですか?」
「今はもうだめ。銀行で換えるしかない」
「銀行はどこでもいいんですか?」
「……台湾銀行」
ふむ。中央銀行でしか換えられない模様。
中華航空
先月から予約を入れ、待ちに待っていた台北旅行。
書店をじっくり見てみたい。
あわよくば訳して面白そうな本に出会いたい。
行きの飛行機は中華航空CI109便。
ゲームやビデオ鑑賞のできる複合端末つき。
パズルゲーム「上海」で暇をつぶす。
使用感は悪くないのだが、牌の絵がやる気ない。
普通は「一萬」とある牌が「一万」。竹の柄も見たことがないゆらぎっぷりだ。
“Chinese noodle or simple rice?”
え?と思い耳を澄ませても、
「炒麺、還是米飯(焼きそば、それともご飯)?」
普通は肉か魚かが選択肢ではないのか?
さして期待もせず麺を選択。
なかなかどうして、機内食は望外のおいしさだった。
焼きそばは熱いまま出るし、パンも温めてある。デザートも果物3種類とマンゴープリンという豪華さ。
普段は焼きそばと言えばソース味しか認めないダンナも興味ありげにぱくぱくと食べている。
この味についていけるならば(注:私にはおいしい)、夜市に行っても食べられるものはありそうだ。