本来は8月末の日記になるはずだったが……
かなり大型の引き合いが来た。
GB(中国の工業規格)を丸々1項目、その量180枚。
翻訳をしたことがない人にはぴんと来ないだろうとは思うが
だいたい私が引き受ける実務翻訳は1件4~5枚、せいぜい2日で終わる。
軽くその30倍を超える量なのだが、
最短納期を聞かれ「2週間」と答えてしまった。
つきあいのない会社が相手だと競争を意識するので
どうしても自己申告が無理めになるものではあるのだが。
案の定?驚いたのか、翻訳会社の人が電話をくれた。
2週間なんかで足りるのかと。
先方には一応3週間と言っておくが大丈夫か、との確認だった。
まぁ最短2週間でやろうという代物、3週間あれば大丈夫だとは思う。
問題はその2週間ないし3週間がいつからいつか、ということだ。
週末なので先方(客先)が既に帰ってしまい週明けを待てとのこと。
無性にどきどきする。
スペシャリストな友達
手足のむくみが気になって仕方なかったので、カイロプラクターの友人に相談した。
午前中なら時間を取ってくれることになり、電車に揺られること小一時間。
(本来もうちょっと早く着くはずだが、通勤ラッシュを避けて遠回りした結果)
東洋医学的アプローチらしく、かなり左右や心身のバランスに注目された。
曰く左半身が相対的に弱い?のは精神的な疲れやストレスとのこと。
「痛かったら言ってね」と声をかけてくれたはいいが、痛い箇所が余りに多く
「あ~、ここは痛いよね。ま、でもちょっとだから」と流されることも数回。
悪い部分のツボは他の箇所より痛くなるのだそうだが、それにしても……。
相当がんばってほぐしてくれているのだと思い強さを聞いてみたところ、
特に力はかけていないとのこと。さわる程度の刺激でもツボだけは痛いのだ。
痛いのを嫌がる客も歓迎しすぎる客もいるとのこと、薀蓄がかなり面白い。
むくみや体の歪みを軽減するストレッチ法なども教えてくれた。
二時間半ぐらい色々してもらい、さて効果を検証してみると……。
手指のむくみがとれて曲げ伸ばしが楽になったり、埋もれていた鎖骨が浮上したり
中でも驚いたのは、肩こりがとれた跡が見えたこと!
首と肩の間が盛り上がっているのはそもそもの体型がなで肩なせいだと思っていたのが
いつの間にやらぺたんと引っ込んで首が少し長く見えている。
私「……ここに何が詰まってたの?」
友人「こり」
私「悪い血とか毒とか?」
友人「(苦笑)炎症が引いて細くなったようなもんだってば」
何だか狐につままれたような。でも楽になったので嬉しいことに相違はない。
寒天ゼリー
最近「こゆずと寒天」ゼリーが気に入っている。
こゆずという果物を生で見たことがないのだが柚子と八朔の中間のような味。
で、一方の寒天なのだが。寒天の入ったゼリー。寒天の塊が……あれ、ゼリーは?
ゼリーを固めているのは増粘多糖類。寒天でいいぢゃん。
よくあんみつに入っているようなひし形の寒天がゼリーの具になっているのだ。
麦飯の麦より違和感があるのだが、何にたとえたらちょうどだろうか。
中身がな~い!
メールに添付ファイルを付け忘れたまま送信するへまは私もよくやるが、
やられた方って実は怖いもんなのねと実感。
納期が決まっている海外の仕事を受注できたのはいいものの、
「添付の訳お願いね」って添付ないじゃ~ん!
「見つからないから再送して」とは頼んでみたが、既に一時間経過……
納期の余裕は意外なところで重要なんだと再認識させられた。
手巻き式ピアノ
先日オークションで競り落としたおもちゃが届いた。
その名も「手巻き式ピアノ」。
一般名称はおそらくロールアップピアノまたはロールピアノだろうと思う。
柔らかく凹凸の少ないキーボードを音源部に巻きつけて収納できるという代物。
これがまた胡散臭い。
・メーカー名の記載がない。
・保証書はある。でもメーカーが分からないのにどうやって?
・日本語がことごとく惜しい。
「新しくくっつく技術、離れにくい、巻き収まるのは簡単だ。」
「その内部構造には最新の粘着技術が入っていて精密なものです。」
「キーボードが正しく操作できないの恐れがあります。」
機能(性能?)自体も電子ピアノには程遠い反応速度で、
両手で弾いても和音に聞こえない。
ま、単音で音階が聞き取れるだけよしとするか。
国際営業?
取引先がお盆休みなせいか、引き合いが全く来ない。
ふとお盆なのは日本だけだと思いつき、世界最大といわれるProZ.comへ登録してみた。
登録項目の多いことといったら、経験分野だけでも最大30件。
売り込み文句やキーワードも英語で書くことになっている……英語。
中文和訳の仕事が欲しいのに自己紹介は英語。
翻訳仕事そのものより疲れたのは言うまでもない。
東京の夏休み
ダンナの用事に付き合って日本橋~大手町方面へ出かけた。
電車と駅はポケモンスタンプラリー渋滞。
12日までというので追い込みなのだろう、親子連れが各駅で長蛇の列。
平日はおばあちゃん大活躍といった趣のスタンプラリーだが、流石にシメは両親か?
反して駅を出るとどちらの街も嘘のように静まり返っている。
なるほどこれが帰省ラッシュの跡なのか。
ただでさえ東京駅近辺は土日のほうが人気は少ないが、今日は驚いた。
そんな空気だけ熱い大手町に集まった男衆四人。
この人たちも十分以上に熱かった。
詳しくは分かっていないこともあり私ごときに記録できないが、
新規事業について飲み屋で相談したり語ったりという場に顔を出してみたのだ。
必要な技術がどうこう、広報がうんぬん、資金計画は……と盛りだくさん。
話している間に二人も増え、更に盛り上がった。
恥ずかしながらどの分野の知識も皆無なのだが一丁前にかなり口を挟んでしまった。
咎める人もいなければ険悪な空気にもならなかったので好き勝手に喋っていたのだが
どうも場の要件は「前向きであること」「やったもの勝ち」だったらしい。
時には各人ばらばらに、時には集まって、一つの?事業を進めようとしている。
この輪に入れてほしいな、私に何かできることはないかな、と素直に思った。
すごい人たちがすごいことをしようとしている。
いい力をいただいてきた。
最速記録
翻訳仕事の取引先を増やすには、よくある就職活動のようなことをする。
登録翻訳者の公募情報を探し、履歴書を送ったりメールを出したりするのだが。
久々に新規求人を見つけたのでその指示に従い履歴書と経歴書を送付すると、
1日でトライアル(採用試験)課題が届いた。
ここまでは、そう驚くに値しない「対応が早い会社」なのだが。
時間があったので回答を作成し返信したところ、50分後にまたメールが来た。
てっきり受領連絡が来たものだと思っていたので気軽に開いてびっくり。
「ぜひ登録を」って、採用通知?1時間たらずで?
驚きのあまり返信に希望条件を添付し忘れたという言い訳はありだろうか。
郷愁と似て非なるもの
今の住居を買う前に暮らしていた町へ行ってきた。
片道6kmぐらいあるので散歩にちょうどの距離ではある。
行きは氷水と財布ぐらいの軽装で出かけ、焼肉屋で夕食を摂って帰りは買い物をしたので電車に乗った。
その町を離れて約2年半。幹線道路の両側はこぎれいなマンションだらけになっていた。
薄暗い雑居ビルだったはずのあたりにしゃれた賃貸物件が建っていたり、
お気に入りだった回転寿司屋がカジュアル中華になっていたり、
見れば見るほど暮らしていた当時と違う様相だった。
単なる懐かしさとも郷愁とも違う、しみじみとした気分。
大きな建物は当時と同じ顔ぶれだったので道に迷うことはなかったが、
商店街の古本屋がコンビニになっていて時の流れを感じた。
そして元が何だったか思い出せないモデルルーム。
まだマンションが建つらしい。そんなに人がいるんだろうか。
よく野菜を買いに行っていた駅前のスーパーも明るく改装されていた。
地場野菜に強み、といった品揃えはどこかにいってしまったが、
A級品とB級品が並んでいるあたりは変わっていなかった。
同じ都内、ほんの数kmなのに馬鈴薯の値段が倍も違う。
やはり今いる再開発地域は人の住むべき処ではなかったのかもしれない。
涙色のお金
辞めた会社から最後の給与振込通知があったので、すぐ下ろすべく郵便局へ。
しばらくキャッシュカードしか使っていなかったので通帳記入に時間がかかった。
だいぶページが進んできたなぁとぱらぱらめくっていたところ。
定額預金が3本未解約で残っていることに気づいた。
日付はいずれも10年以上前。
今では考えられない3%台の金利が付いている。
思い出した。これは進学で実家を出るとき親が持たせてくれた非常資金だ。
「普通の貯金が赤字になっても一応は大丈夫だから」とだけ聞いていて、
当時は何のことだかまるで理解できていなかった。
その心は、定額貯金があるから担保にもなるよ、でも赤字にはするなよ、と。
大学2回のとき、クラブの合宿で入用になり、1本だけ解約したいと母に相談したところ、
「金利がもったいないから」と別途その金額を融通してくれた。
2年後、会社に勤めだしたので返そうかと話すと、ていねいに断られた。
両親とも既に年金生活者だったのに。
実家から会社に通っていた2年弱の間は、家賃と称して月5万ずつ渡していた。
その金額も母は手付かずで取っておいて、やはり定額貯金にしてくれていた。
つまり、結果として、私は完全にパラサイトしていたわけだ。
好き勝手に出歩いたり心配をかけたりして。
しかも「社会人なんだから小うるさく口を出さないで」とまで言ってしまっていた。
そんな日付が入っている定額貯金のページ。
お金に色はないと言うが、ここにはあると思う。
享楽的に消費してはいけないなと気づいたのは遅かっただろうか。