郷愁と似て非なるもの

今の住居を買う前に暮らしていた町へ行ってきた。
片道6kmぐらいあるので散歩にちょうどの距離ではある。
行きは氷水と財布ぐらいの軽装で出かけ、焼肉屋で夕食を摂って帰りは買い物をしたので電車に乗った。
その町を離れて約2年半。幹線道路の両側はこぎれいなマンションだらけになっていた。
薄暗い雑居ビルだったはずのあたりにしゃれた賃貸物件が建っていたり、
お気に入りだった回転寿司屋がカジュアル中華になっていたり、
見れば見るほど暮らしていた当時と違う様相だった。
単なる懐かしさとも郷愁とも違う、しみじみとした気分。
大きな建物は当時と同じ顔ぶれだったので道に迷うことはなかったが、
商店街の古本屋がコンビニになっていて時の流れを感じた。
そして元が何だったか思い出せないモデルルーム。
まだマンションが建つらしい。そんなに人がいるんだろうか。
よく野菜を買いに行っていた駅前のスーパーも明るく改装されていた。
地場野菜に強み、といった品揃えはどこかにいってしまったが、
A級品とB級品が並んでいるあたりは変わっていなかった。
同じ都内、ほんの数kmなのに馬鈴薯の値段が倍も違う。
やはり今いる再開発地域は人の住むべき処ではなかったのかもしれない。

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