恐ろしく冷静な人々

しゅぼっ!
お昼ごろ、職場の片隅で火柱があがった。
……翻訳企画の三面記事ではない。
東京の某いんてりぢぇんと・びるの今日の出来事である。
正午を回るか否かぐらいのけだるい時間、ふと音のする方向を見ると真っ赤な火柱が。
否、真っ赤というと嘘かも。炎色反応でいうナトリウムの炎があがった。
1秒間ぐらい続いていたように思う。
幸い、何も燃えなかったらしい。ひたすら電線の焼けた臭いだけがしていた。
現場はセキュリティ・ルームと隣の部署の間。
冷蔵庫に電子レンジが載っている。
どちらも明らかに前世紀の遺物、相当な年代ものだ。
いつどちらが火を噴いてもおかしくない風格ではあった。
そのせいなのか、周りがおとなしい。
火元がレンジか冷蔵庫かと噂しあう声は聞こえたが、
会議室に固まるおえらいへの報告は誰もしない。
人事島の人がビル管理室へ連絡をとっただけ。
まるで騒然としないのが傍目に滑稽だった。
見る間に、というよりはゆっくりと、煙が充満。
じわじわと視界が白くなってきたので外食がてら隣の島の女性陣と屋外避難することに。
入った飲食店での会話。
私「火を噴いたのは冷蔵庫でした。足元あたりの柱がすすけてましたから」
隣の人「あれも30年ものぐらいだもんねぇ」
はす向かいの人「パソコンは買い換えるのに……」
隣「でも延焼しなくてよかったよねぇ」
私「してたら洒落になりませんよ、非常口に出られない人どれだけいるか」
はす「えらい人みんな会議中で気づいてませんでしたよね。取り残されちゃうのかも」
隣「みんな気づいてなかったよねぇ」
一同「避難訓練ってやっぱ必要?」
そう、この件で気づいたのだが。
現場は出入り口にほど近く、辺りの人の避難経路にある。
本当にそこで火事になってしまったらかなりの問題だ。
それでも多分、大々的な広報はないと思われる。
冷蔵庫の買い替えが入ればいいほうか。
私の勤務先ときたら、決してけちではないだがだいたいそういうところがアレなのだ。

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